著者のもくろみは男性視点のロマンス小説だったとか。父と息子の家族愛、男と女の恋愛を軸にした作品。

最後の場面では泣きそうになった。

主人公のジェシーは三十二歳のライター。フリーで頼まれたものを書くだけのしがない作家。恋愛には一途になるものの、破局を二度経験して、永遠の愛などないと思い、今いる女教師マリーナとの付き合いも先のことは考えずに目先の楽しみだけに目を向けている。
彼の父親ミッキーは数年前に妻を亡くし、一人暮らしの八十三歳の老人。最近心身の衰えが出てきて、ついに台所でぼや騒ぎを起こす。子供たちは早くに独立して近くにはいない。兄や姉とは二十近く年の離れた末っ子のジェシー。

大きな屋敷に一人暮らす父を心配して、兄や姉は施設に入れようとしていたが、ジェシーは自分のところで同居させようと思い付く。兄や姉と違い、ジェシーが物心つく頃には父は年老いていて、父と息子の思い出があまりない。それを挽回したいと。

兄や姉の反対を押しきってはじめた同居生活。はじめはうまくいかなかった。それが付き合っているマリーナを紹介して変わる。彼女を気に入った父は、息子の態度が不満になる。百万人に一人と思える女性と添い遂げようとしない息子に失望。話の噛み合わない息子に伝えたいと思い、父は若かりし頃の大恋愛を話し始める。聞いた息子も魅せられたものの、なぜか一気に話してくれない。話すことで疲れを覚えるようで何回も途切れる。

若き父がその女性ジーナと婚約したところまで聞いたジェシーは、それが母親とは別人であり、父の恋も終わりを迎えたと思い、恋人マリーナとの付き合いにもぐらついて、別れを告げられる。

仕事では成功に向かいながら、恋に破れそうな息子を憂えて、父は脳梗塞で倒れ、意識のないまま、家族に看取られて死亡。若き父とジーナの恋の結末は、父の妹である叔母さんに教えられた。市長室の職員となり、危険な地区を訪れたジーナは、結婚式の数日前に命を落としていた。五十年も前の恋に今も顔を赤らめていた父を思いだし、ジェシーは終わらない恋もあると気づく。息を引き取ったあとに訪れたマリーナと顔を会わすジェシーは彼女を二度と手放さないと思う。

父の伝えたかったことは確実に届いた