ローマン・ブリテンシリーズの最後を飾る作品。

アーサー王が亡くなって百年の六世紀。イギリス南部と東部にはサクソン人の王国が乱立している時代。その中の最大の西サクソン王国が、ブリテン人の王キンダイラン王と最後の決戦を行う。父や兄と共に戦闘に参加した少年オウェイン。

気づくと戦場で生きているのは彼一人。傷を負い、気を失っている間に戦闘は終わっていて、探してみると王の遺骸の近くに父も兄も死んでいた。天涯孤独になった彼は、決戦場に来る前に、仲間が集まった町へ行こうと思う。誰か仲間がいるかもしれない。

サクソン人の目を逃れ西へ向かい、空腹のため一軒の農場にたどり着く。しばらくそこで世話になり、子供のいない夫婦に誘われたものの、目指す地を目指して出ていく。

たどり着いた町は廃墟だった。住民は森の中へ避難したらしい。目的を失い途方にくれるオウェインの前に現れた少女レジナ。大陸に渡ったブリトン人のもとへ行こうとして、まずは南の海岸に向かう。しかし、レジナが病にかかり、助けるすべがないことがわかると、オウェインはサクソン人の農家に助けを求める。奴隷として働いてもいいから、レジナの面倒を見てほしいと。

折しもそこに居合わせた旅の男が、オウェインを金貨一枚で買い取り、レジナはその農家に引き取られることになる。

その旅の男ベオルンウルフは南サクソン王国の南部の海岸で農場を営む。しかもヘーゲル王とは乳兄弟で、王が単身訪れることもある。ブリトン語ができ、礼儀も知っているオウェインは重宝がられ、奴隷の輪をつけていながら、やがて執事のような存在となる。

強大となった西サクソン王国への不満から、王の親族が他の王国と手を結び反乱を企てる。しかもそこへウェールズに残るブリトン人も協力する。

ヘーゲル王の使いでケント王国へ行ったベオルンウルフが海路帰り、嵐により難波。それをオウェインが助け出したことにより、オウェインは自由を得て、父兄の仇である王に弓引く仲間に参加する。ブリトン人の大使や王に彼らの国に戻るように言われて心動くオウェインだったが。決戦に勝利したものの、ベオルンウルフの死に際して、家族の世話を頼まれ、居残る。さらに一年後東へ旅だったオウェインは、無事レジナに再会し、最初に世話になった農家の夫婦のもとで新たな生活をはじめようと思う。

蛮族の侵略も、世代を経たら同じ人間、それに気づけば新たな世界が広がる。夜明けの風が吹く。