ヴァイキングが活躍した時代、九世紀のスコットランド北方や沿岸諸島を舞台に、剣士として生き、成長する少年を描いたサトクリフの遺作。

主人公はノルウェー人の少年ビャルニ。故郷の村から先に行っていた兄を頼って、スコットランド西岸のノルウェー人入植地にやってきた。十六歳。しかし、族長の掟を破り、キリスト教修道士の老人を死なせたために、剣一振りを渡されて、追い出された。五年は帰るなと。

折しも訪れていた商人の船でダブリンにおもむき、アイルランド王の近衛兵に志願してみたが、大人になってから出直せと追い払われる。しかも兄が持たせてくれた腕輪で得た有り金をチンピラに盗られてしまう。酒場で出くわした黒犬が相棒になっただけ。

バラ島を本拠にするノルウェー人族長木足のオヌンドの剣士に雇われて、彼の冒険物語は始まる。二夏を過ごし、航海にも出たし戦闘にも参加し成長。しかし彼が邪険にした祭司の娘の復讐が元で、いられなくなる。
次に仕えたのはアイルランド北の諸島を治める赤髪のソーステイン。ここでも二夏を過ごす。ソーステインが、オークニー諸島を治める族長シグルドと、ノルウェー王の侵略について合議して、スコットランド北部のケースネスに植民することになる。そのための現地のピクト人との和平交渉の最中に、不幸なことに、それぞれの族長が命を落とす結果になる。

すべてが片付いたとき、五年になったこともあり、兄のいる故郷ともいえる入植地に戻ろうとしたビャルニは、乗っていた商船が村間近に出くわした嵐のために南に流される。海に落ちた愛犬を救おうとして、海に飛び込み彼はウェールズの西岸に漂着。

助けてくれた少女アンガラドはもとはこの地域の王女だったが、父と兄を亡くしたため、病身の年寄りを養いながら一人で暮らしていた。古き民の血を継ぐ彼女は、修道院で教えられた薬草などの知識を持っていたために、魔女扱いされ、ついには彼女の土地を狙う親戚の企みで、故郷を離れることになる。

ビャルニとアンガラドは陸路北上し、兄の住む村に帰りつく。五年の旅の体験を剣の歌として、族長に話すことになる。

髭もない若者が、黒々とした髭を持つ一人前の男として凱旋するまでの冒険物語。ヴァイキングといっても、ひとつじゃないんだ。長い年月様々な移住が行われたんだ。この時代の物語もまた読みたいな