はじめは漫画チックな展開に、身を引きたくなったが、読み終えると結構よかったし、私まで癒されるような気になった。

東京郊外と思える小さな町に、商店街の一角にその喫茶店昭和堂はある。昔、岬の見える喫茶店で、うまいコーヒーを作る魔法を教えられたという店長柿崎こと、カッキー。
入店1ヶ月で、店長に格上げされたにわか店長。オーナーのキリコは喫茶店奥に置いたロッキングチェアに座り、客に無関係にひとり缶ビールをのみ漫画を見ている。その名の通り、店には昭和歌謡のレコードが正面奥の棚に千枚近くあり、気ままに選ばれて流れている。

さらにレジの横には神棚が置かれ、その前には賽銭箱がある奇妙な店。これがキリコの裏家業癒し屋に関係がある。最初は知り合い相手に悩みを聞いたりアドバイスをしていたのが、口コミで評判になり癒し屋キリコになっている。あくまでも商売ではないから、癒しに成功しても料金を受け取らず、賽銭箱に好きなだけ入れてくれればいいと。そのくせ、客が来て、金がありそうだと、にじり寄り、神様にお願いするならやはり賽銭を奮発しないといけないなどとささやく。

アシスタントには町内の自称霊能者の入道さん、イケメンのバイク便ライダー涼君、元暴走族リーダー、キックボクサーの経歴を持つ呉服屋の主など店の常連が手伝う。

やり方は一見ハチャメチャだし、仕事中ビールを飲み続けるキリコにあきれるやら、本気かと疑わしく思えるのだが、結果としては成功する。心理カウンセルのやり方に叶っている。それを巻頭にある歌のフレーズでビシッと決めている。

キリコにもカッキーにも秘密があった。それから逃げていた二人はそれに直視し、無事解決するまでの展開にはやはりこの店に集う面々の助けがあればこそ。

夫のDVから逃げ出したカッキーが自由にになる顛末、評判の心理カウンセラーだったキリコが親友の自殺を止められず自信を失い逃げ出した。それに関わっていた涼。

はじめは馬鹿馬鹿しく思えたが、結構よかった。やはり森沢さんの作品だなと思わされた。

また新作見かけたら読みたいな