初めての作家沙木さんは、第八回「幽」怪談文学賞短編部門大賞を受賞したタイトル作で、デビューした作家。その続編と言える二編の書き下ろしを加えてなる作品。
女子大生、美代の家は京都の種麹屋。酒や醤油作りに欠かせない麹菌を商う。築百五十年の古くて複雑な家屋には、多くある物陰や隅の暗がりに、そこはかさんがいる。
女系家族の女あるじである曾祖母には彼らが見えるらしい。代々女性にしか見えず、誰でも見えるわけでもなく、誰もが同じものを見るわけでもない。
あるかないかわからないもの、そこに見えてるのに形がはっきりせず、手ではつかめないもの。
美代には見えず、曾祖母にせっついても時期になれば見えると言うだけ。しかも二人以上の場では話題にするのも禁止。同時に二人と話すのもよくないと。だから、祖母や母親にも聞けない。
曾祖母がなくなったあとにようやくそれらしきものを見ることができ、母と話すこともできた。しかし、母の言うことも曖昧で悩んでいると、帰省していた容子おばさんが話してくれた。母の妹のおばさんはスコットランド在住で、室内装飾が本業だが、骨董や雑貨の輸出入もしている。
おばさんといるときに奇妙なものを目撃した美代は、おばさんも何か知っているようで、問い詰めて、話を聞く。古くからこの地の一族にまつわることにからんでいたそこはかさん。彼らのしたことは必ずしも家族によいことばかりではないが、尊重して、見てみぬ振りで付き合うのが女の勤めだと。さらにスコットランドにも似たような存在がいるともいう。
母親が四十路で双子の弟妹を生んで、久しぶりの男児出産で終わる。
容子おばさんの言葉と双子をキーワードにして、次の二編が展開する。大学で知り合った富山の薬屋の娘。その兄が描いたナツメをめぐって、兄の秘密やそこはかさんの話が描かれる。
絵の素材になったナツメにまつわる問題は、おばの元夫のスコットランド貴族の家族の謎に繋がっていく。そこにも幽霊とも妖精とも言い切れない存在が関わっている。
そこはかさんという、なんかユーモラスな名前がぴったりの話だった。座敷わらしとかつくも神にも通じるようで、少し不気味さは感じても怖いとまでは言えないあいまいもことしたもの。けっこう味わい深い作品だ。
女子大生、美代の家は京都の種麹屋。酒や醤油作りに欠かせない麹菌を商う。築百五十年の古くて複雑な家屋には、多くある物陰や隅の暗がりに、そこはかさんがいる。
女系家族の女あるじである曾祖母には彼らが見えるらしい。代々女性にしか見えず、誰でも見えるわけでもなく、誰もが同じものを見るわけでもない。
あるかないかわからないもの、そこに見えてるのに形がはっきりせず、手ではつかめないもの。
美代には見えず、曾祖母にせっついても時期になれば見えると言うだけ。しかも二人以上の場では話題にするのも禁止。同時に二人と話すのもよくないと。だから、祖母や母親にも聞けない。
曾祖母がなくなったあとにようやくそれらしきものを見ることができ、母と話すこともできた。しかし、母の言うことも曖昧で悩んでいると、帰省していた容子おばさんが話してくれた。母の妹のおばさんはスコットランド在住で、室内装飾が本業だが、骨董や雑貨の輸出入もしている。
おばさんといるときに奇妙なものを目撃した美代は、おばさんも何か知っているようで、問い詰めて、話を聞く。古くからこの地の一族にまつわることにからんでいたそこはかさん。彼らのしたことは必ずしも家族によいことばかりではないが、尊重して、見てみぬ振りで付き合うのが女の勤めだと。さらにスコットランドにも似たような存在がいるともいう。
母親が四十路で双子の弟妹を生んで、久しぶりの男児出産で終わる。
容子おばさんの言葉と双子をキーワードにして、次の二編が展開する。大学で知り合った富山の薬屋の娘。その兄が描いたナツメをめぐって、兄の秘密やそこはかさんの話が描かれる。
絵の素材になったナツメにまつわる問題は、おばの元夫のスコットランド貴族の家族の謎に繋がっていく。そこにも幽霊とも妖精とも言い切れない存在が関わっている。
そこはかさんという、なんかユーモラスな名前がぴったりの話だった。座敷わらしとかつくも神にも通じるようで、少し不気味さは感じても怖いとまでは言えないあいまいもことしたもの。けっこう味わい深い作品だ。