モンゴメリーの死後に編者が見つけた十二冊のスクラップブックには、雑誌などに発表されただけで埋もれていたモンゴメリーの作品が五百あまりあった。その中からクリスマスと新年にちなんだ作品を集めた選集。十六編が納められているが、内二編は赤毛のアンシリーズから抜粋されたもの。巻頭の第一話は、アンがクリスマスプレゼントにマシューから当世風の素敵なドレスをもらい感激するエピソード。そして第八話は校長先生になったアンが、気むずかしい副校長のキャサリンをグリーンゲイブルズでのクリスマス休暇に誘うエピソードが入れてある。

他はみなアンシリーズではない作品が収録されている。どの話もハッピーエンドに終わる。貧しくてクリスマスも祝えない家族、兄弟たちがささやかな幸運により、楽しいパーティーに出たり、プレゼントをもらう話で、光と影、悲しみと喜びが描かれていて、読んでいてホロリとする話ばかり。

印象的だったのは、四話のシリラおばさんの話かな。出掛けるときには大きなふたつきのバスケットを持っていく。ルーシーは大きくなっておしゃれに目覚めた頃から、そのカッコ悪いバスケットが嫌でたまらない。

甥夫婦のもとへ行こうとおばさんはバスケットに田舎料理を詰め込んで出掛け、列車に乗り込んだものの、雪により立ち往生。クリスマスを雪の列車内で過ごすはめになる。乗り合わせた子供連れの若い母親、無職の女性、傷病兵、金持ちの夫人など、おばさんは誰彼かまわず、持っている料理を分け与え、いつか車内のみんながひとつになり、車内でクリスマスパーティを開き、めいめいが歌を歌ったり詩を朗読したりする。そして、寝込んだ若い母親が生活に苦労していることを見かねて、みんなで持ち物を持ち合い、子供たちへのプレゼントにし、集まった現金は母親にあげることになる。

翌朝雪も治まり、除雪車も出て、駅にたどり着き、みなは別れ別れになる。でもみなの心のなかには、最高のクリスマスの思い出が残る。ルーシーももうおばさんのバスケットを恥ずかしいとは思わない。むしろ誇りに思う。

短いし、どれも似たような印象もあるが、なかなかよかった。楽しかったというよりは、心暖まる作品だった。