予想外に面白かった。少年少女の兄妹が牧草地の丘の上で、シェイクスピアの「真夏の夜の夢」の野外劇の真似事をしているときに現れたのは、妖精パック。劇中にも登場するいたずらもの。

かつては神々と共にこの島へやって来た。やがて神の地位から落ち忘れられた存在になった妖精たちは今は遠くへ旅立ち、彼だけが残った。彼は魔法で、この地に関わる歴史上の人物を呼び出して、二人に歴史的な事件や出来事について、そこに居合わせた人物の体験談として、話してくれる。なかなか面白く、興味深いが、イギリスの子供たちに歴史を学ばせる物語と言うことで、日本人にはイギリスの歴史の知識がない分、分かりにくいところもある。それが長く邦訳がなかった理由だろう。世に出てから百年後に日本に現れた。続編もあるようだが読んでみたいが、邦訳は出てないかな。

兄妹が住むのはイーストサセックスの南東の海岸沿いにある小さな村。でも大陸にも近いこの地は、昔から歴史的な事件に関わってかた。四世紀のローマ支配下では砦があり、ローマ軍が駐屯していた。五世紀には、やがてこの地の司令官が皇帝を名乗り、ガリアへローマへ去り、残されたブリトン人は蛮族の侵入に立ち向かう。

そして十一世紀になると、ノルマンディー公ウィリアムが、この地のペペンシーに上陸し、イングランド王を破り、征服。公からこの地を賜ったモルタン伯は砦あとにペベンシー城を造る。

スカンジナビアから来た神々の鍛冶屋が鍛えた伝説の剣、その剣を与えられた騎士と仲間たちの冒険、海賊につかまり、遠い異国アフリカの地でゴリラを退治して得た宝物、ローマの百人隊長など。さらにマグナカルタにまつわる話など。

読んでいたらなにか似ている。歴史上の事件出来事をその場で体験していた個人的な人物に語らせる、そんな作風。訳者あとがきによれば、やはりそうだ。子供時代にキプリングを読み、影響を受けた作家の一人がサトクリフ。ローマンブリテン三部作などはそのものズバリだな。

サトクリフも早く読みたいものだ