アヤカシさんとは、人間の身近にあり、愛着を持たれた物や道具の精霊。古道具に宿る精霊をつくも神というが、似たような存在か。
小学校の新四年生になるケイには、十歳しか違わないおばさんメイがいる。母親の年の離れた妹で、小さい頃から仕事で帰りが遅い両親の代わりに、子守りや留守番に来てくれ、おばさんが大学生になった今は、家庭教師も勤める特別な人。

そんなおばさんが変なおじさんを従えてやって来た。メイおばさんはそのおじさんを無視して、見えないふり、聞こえないふりをして、ケイにも無視しろと言うが。好奇心からつい見てしまうし、話しかけられたら返事をしてしまう。

メイおばさんはそれがアヤカシだという。見えるものには見えるが、普通の人には見えない存在なんだと。だから人に話したりすると、嘘つきにされたり、気味悪いものに思われる。今までそれで苦労してきたから、ケイは無視しろと言う。

おばさんがいないときに、アヤカシと思われる存在がケイの前に現れて、ついついそれにかかわってしまう。アヤカシとは人間が大事にしていたものの精霊で、忘れられたりすると、もとに戻りたいと思う。繋がりを回復したいと思う。だから、そのためにアヤカシが見えて、助けてもらえそうなケイの前に現れてくる。

何度かそんなことを経験したあとに、ケイの前に現れた同じ年頃の少女。それがなんとメイおばさんの過去の姿。おばさんのひいばあさんも、アヤカシを見ることができて、夫を失った悲しみから立ち直れた。まだ生まれてもない孫の娘であるメイにあてた手紙とカメオのブローチ。それを納めたからくり箱。それらのアヤカシにより、メイが忘れていたものを思い出させ、無事に曾祖母の思いがメイに伝わる。

ものでも人でも誰もが寂しい。繋がりを求めている。一見無縁なものや人の間にも実は何らかの繋がりがある。心を開いて受け入れたら、気づくことがある。そんな思いを描いた作品かな。

なかなか面白く、また考えさせられる話だった。富安さんはやはりいいな