著者は京都生まれの京都通。テレビや雑誌の京都特集では監修を務めるほど。そんな著者が京都を舞台に、思い出の料理探しをする食探偵の料理人を描いた連作短編集。

以前にも読んだ本の続編。前に読んだときよかったので、図書館の新規入荷の中に見つけて、予約した。

京都東本願寺近くの民家。看板もなく、モルタル造りの二階家。主の鴨川流が料理人であり、食探索人。娘のこいしが、食探偵所所長として探索内容を聞く。

六つの話、食事が探索される。最初が海苔弁。賭け事好きなため、妻と娘が家を出て、息子と二人暮らしの父親が作った弁当が探索のターゲット。ご飯の上に一面海苔で覆われてる弁当。

二つ目はハンバーグ。シングルマザーは、陰口言われないように懸命に息子を育てた。肉を潰してミンチにするのは邪道だとハンバーグを作ったことがない。でも息子は一度だけ食べたことがある。それを探すことに。

三つ目はクリスマスケーキ。十歳で事故死した息子は、和菓子屋の子であるために洋菓子を食べさせてもらえなかった。でも通夜の席にケーキを供えた洋菓子屋のおばあさん。時々その店で息子は洋菓子を食べていた。息子の死を吹っ切り、店を弟子に譲るために、一口しか食べなかった、通夜のケーキが食べたい両親。

四つ目は焼飯。資産家の娘で今はモデル。そんな女性の生まれは実は四国の港町。幼い頃パートの合間につくったピンクの焼飯をもう一度食べたいて依頼。
五つ目は中華そば。昔京都の大学生の頃、芝居の稽古をした道端に出ていた屋台の中華そば。芝居を諦め、今は社長。その息子が同じ役者への夢を持った。昔を懐かしみ、気持ちを決めるために思い出のラーメンが食べたいとの依頼。

六つ目は天丼。一発屋初老の演歌女歌手が初めて東北から東京に出てきて、浅草で食べた天丼が忘れられない。老いた両親のために帰郷を決めた彼女はもう一度あの天丼が食べたい。両親にもつくってあげたいと依頼。

娘こいしが聞き取った話から、父は現地へ調査に行き、依頼の料理を調べ、再現する。依頼者に食べさせてやるだけ。依頼者がそれにより、どう心に踏ん切りをつけたかまでは、描かれない。でも想像はできる。そんな人間ドラマ、心のドラマが読む者の心を暖かくする。料理ができたとき、内容を説明するのだが、あいにく私にはわからないので、ほとんど飛ばし読み。食材にも料理にも暗いが、ドラマはわかる。感動できる。