カニグズバーグ作品集第一巻、収録されているのは、『クローディアの秘密』と連作短編集『ほんとうはひとつの話』の二編。

前者は1967年にニューベリー賞を受賞した作品で、児童文学の評論やガイドブックには必ず名が挙がる作品。

一言で言えば、少女の家出物語。十二歳になろうとするクローディアは四人姉弟の唯一の女の子で長女。いつも家事の手伝いをされるのは彼女。優等生で、両親もそれらしく振る舞うことを期待して、毎日が似たり寄ったりでつまらない。末っ子ができてからは、両親の愛情はそちらへ行ってしまう。

密かに家出を計画するクローディア。軽はずみな、思い付きの家出は性に合わない。それに田舎にいくのもいや。考え付いた家出先はニューヨークはマンハッタンの中心にあるメトロポリタン美術館。三歳下の弟ジェイミーは無駄遣いすることなく、小遣いを溜め込んでいる。それで彼を誘い、家出敢行。

金持ちはけち、だから家出する交通も電車は使えない。金を管理する弟が許可しない。食事もレストランなんて行かせてもらえない。
警備が厳重な有名な美術館に密かに居残り、寝泊まりする。風呂がわりに入ったのは、深夜のレストラン内の噴水池。館員の出入りの時間にはトイレの個室に隠れ、誰もいなくなるのを待つ。なかなか大変なことばかりだが、そんなことができるかもしれないと、納得させられるところもある。

家出はしてみたものの問題はどうやって帰るか。目的は自分への両親の評価を変えたいのと、あらたな自分を見つけたい。帰ったら元の木阿弥では意味がない。でもどうしたらいいのか?
そんなときに美術館が安く買い取った天使像の彫刻が話題になる。ミケランジェロの製作かもしれないと。クローディアもそれを証明しようと、天使像を観察したり、図書館でミケランジェロのことを調べてみるが、わからない。元の持ち主はわかっている。資産家の老婦人。彼女なら知ってると思うクローディアは有り金はたいて電車に乗り会いに行く。なんとしても天使像の制作者を確かめたい。それを知れば、あらたな自分になれるような気がして。

会ってくれた老婦人はそれは秘密だという。クローディアの家出の顛末という秘密との交換なら応じるという。しかも死後の遺産贈与として証拠の書類も譲るという。そんな秘密を得て、婦人のお抱え運転手のロールスロイスで帰宅する。

話に引き込まれるし、クローディアと老婦人の対決も面白かった。いい作品だ