弟ピーターとの楽しい夏休みを待ち望んでいたトムは、弟がはしかにかかり、うつるのを恐れた両親に、一人で叔母の家に預けられることになった。

子どものいない叔母夫婦が住むのは街中の古い屋敷の二階。今はアパートにされていて、持ち主は三階の屋根裏に住む老婆。

世話焼きの叔母に閉口する上に、回りには遊び場もなく退屈するトム。玄関の踊り場には昔からあっと思われる大きな柱時計。家主が時々鍵を開けてネジを巻く。きちんと動いているのに、時を打つ鐘の数が狂っている。

ある夜寝付かれないトムが数えると、十三も鳴る。調べてみようとこっそり下へ降りたが暗くて見えない。月明かりを入れようと、裏の入り口を開けてみると、なんと素晴らしい庭園が広がっている。冒険したくてワクワクするが朝まで待とうとした。

しかし、朝になってから裏へ出てみると、庭園はない。近くまで隣家が迫り、塀で閉ざされた空き地がわずかにあるだけ。

夜中に再び行ってみると庭園はあった。そこを歩き回り、やがてトムは同い年くらいの少女ハッティと知り合う。そこは彼女の叔母さんの屋敷で、両親をなくした彼女は引き取られたものの、叔母さんは優しくない。年上の男のいとこが三人いるが、あまり相手にしてくれず、一人寂しく遊ぶ子だった。

なぜかトムの姿は彼女と庭の世話をするアベルにしか見えない。それをいいことにトムはハッティと楽しい時を過ごす。

しかしトムは毎晩訪れているのに、その庭の時間は異なっている。季節が変わったり、ハッティ自身も幼くなったり、成長して年上になったり。最後には彼女は結婚適齢期の大人にまでなる。

時間って何か?と調べてみるがわからない。服装や彼女の言動から、ハッティの暮らす時代が百年前のビクトリア女王の頃だと知る。彼女にはトムは幽霊のような霊的な存在に思えるらしい。

予定の帰る日が近づいてもトムは叔母の家に居残っていたが、ある夜裏庭に出てみたが庭がなくなっていて、思わずハッティの名を叫んでしまう。屋敷中の人を起こしてしまい、翌朝トムは家主の老婆に謝りにいく。

気むずかしい老婆だと思っていたが、なんと彼女がハッティ本人だった。

結婚し幸せな生活を送った後、子を戦争で失い夫に先立たれた彼女は、以前買っておいた屋敷に戻り住んでいた。トムとの出会いは、ハッティにとっては回顧の夢のなかでのことだった。トムが実在すると知ったハッティの思いはどんなだろう?
さすがに名作だな