サブタイトルに、太陽と月と大地の物語、とある。てっきり伝統的なインディアン思考による冒険物語のようなものかと思っていた。
しかし読みはじめて気がついた。これはギリシア神話におけるオデッセイにあたる神話伝説の類いだと。

アンパオという若者が好きな女性を射止めるために、生まれつきの顔の傷を消してもらうために、太陽を求めて各地をさ迷い冒険をする。

あとがきによれば各地の様々なインディアン部族の言い伝えを取捨選択して、ひとつの物語に仕立てあげたとあり、主な出典が示されている。

最初にこの世を創造する「老人」が登場して、神話だと気づき、最後まで読めるか危ぶんだが、すぐにアンパオの冒険談になり、結構楽しめた。

太陽が妻の月に隠れて浮気した人間の女との間に生まれたアンパオ。太陽の子アンパオが父に会うためにこの世の果てにあるという住まいを訪ねていく。平原や山岳、砂漠と、アメリカには様々な自然景観があり、白人が現れるまでの歴史的な時間も織り込まれていて、なかなか興味深い。
アンパオが相手してるのが人だと思って読んでると、実は鳥だとか、コウモリだとか、獣だったり。インディアンの世界にも霊的な存在や呪い師もいて、自然宗教の世界。そもそも父親が太陽で、身を二つに分けられて、素性を記憶していない双子の若者として登場。途中で、弟は合体されて、一人前のアンパオができる。浮気の子を憎む妻の月による災いを受けたり。
最後、父親だけに素性を明らかにし、それに気づかない月や腹違いの弟に別れを惜しまれて帰宅。愛する女性と再会するも、白人の侵入と彼らにより持ち込まれた天然痘などの疾病、さらには怠惰な精神により、今や滅びようとする村を出ようとするも、村人には信頼されず、精霊に導かれて湖の中の新世界に入り込むアンパオが印象的だな。