はらはらドキドキさせられたり、不思議な生き物が出てきたり、楽しく読めた。ただタイトルにあるクラーケン、北欧神話等に出てくる伝説上の巨大な怪物が、いまいちはっきりしない書き方がされていて、物足りないかな。イカやタコ、海蛇や竜などに説明された方がわかりやすいのだが、ここでは海の魂を、あらゆる生き物を癒し、海の自然を回復させる神秘的な存在だといい、小さな島くらいの巨体で年中世界の海をさ迷っているとか北極に住むとか。

大西洋上に浮かぶ小さな島。引退した船長が五人の娘と住む島に、傷ついたり弱った生き物たちが漂着するようになり、彼らはいつかそれらを癒すことが使命と考えるようになる。しかし父の船長も百歳を越え、娘たちも独身のままおばさんになっている。将来を考えると、若い働き手が必要だが、世間には秘密の島を公開したくないし、金もない。

考え付いた作戦が子供をさらってくること。子供を吟味するために、おばさんたちはロンドンで派遣のおばさんを勤め、めぼしい子供を探す。

こうして選ばれたミネットとファビオは眼鏡に叶い、動物好きで世話を焼くことに不平も言わない。家族関係もよくなくて、島に来た方が幸せそう。

しかしランバートは怠け者で役に立たないとわかったのに、用意していた麻酔剤で倒れたために仕方なくつれてこられた。何を言っても言うことを聞かないわがままだったが、ファビオが暴力で従わせてようやく動き出すくらい。

伝説のクラーケンも訪れ、最高潮の島を脅かしたのは、さらわれた親たちが騒ぎだし、警察が動き出したこと。しかもいち早く単独で動いたランバートの父親は島が珍獣の島だとわかり、よこしまな考えから動き出す。

ほとんどの島の生き物が捕まり、あわやというとき、残した子を助けるために現れたクラーケンが一気にカタをつける。イギリスの警察に捕まり、裁判を受けたおばさんたちも、誘拐の事実がないと無実になる。

おばさんたちは遺産として島を譲る書類を作り、ひとまず親のもとに帰るファビオとミネットを送り出して終わる。

最後がハッピーでいいから安心できる。いつか成人した二人が島に戻り、動物たちの世話をするのだろうな。