舞台はスコットランドの港町グラスゴー。父を亡くし、母子家庭のフィリップは、母親が看護学を勉強に留守にする間、母の実家で、大叔母のジェーン、従姉妹のスーザンと暮らすことになる。普段から疎遠で、変人のオールドミスと嫌っていたはずのジェーンに預けられたのが、しゃくにさわる。

ジェーン叔母はまともにフィリップを見ないし、私立の学校に通う従姉妹のスーザンも取っつきにくい。

しかし暮らしてみたら、スーザンは気さくに話しかけてくるし、子供の扱いができないと聞いていたジェーンは食事はうまい。

二人の子供は屋根裏の部屋をあてがわれ、ジェーンは一階で、二階は誰もいないはずなのに、時々、その一部屋から明かりが漏れている。不思議に思った二人は探検を試みるが、何もない。元々屋敷に残っていた古いカメラで部屋のなかを撮影したら、あとになってそこにはない家具がぼんやり写っている。しかもそれらの家具は、一階の居間や、形見として譲り受けてフィリップの自宅にあるものと同じものらしい。亡き曾祖父ウィリアムの家具。

はじめは親の受け売りで嫌っていたジェーンおばさんだが、スーザンからその数奇な一生を聞いたことで、同情を覚えるようになったフィリップ。

幽霊でもいるのか、今はない家具が浮かび上がる部屋の謎、そして偶然二人の子供が発見したものにより、浮かび上がるジェーン叔母さんの過去の不幸。

謎解きと共に、子供たちとおばさんの垣根が崩れ、やがて実の祖母と孫のように心を通い合わせるようになる顛末が、読んでいて感動的。

あの部屋に現れた過去の映像が幽霊のようなものだったか、あるいはジェーンおばさんが過去を思い出すことで現れた幻なのか、正体が明らかになるわけではないが。なかなか印象深く、心暖まる話だった。

半世紀を無駄に過ごしたかに見えるジェーンが、亡霊ならぬかつての彼女の兄弟の生まれ変わりとも言える子供たちと、交流し、心を通い合わせることで、幸せな晩年を迎えられたことが、なぜかとてもうれしい。