『読む力は生きる力』『物語が生きる力を育てる』などの著書を持つ児童文学を研究してる大学教授の脇明子さんと、その教え子である小幡章子さんの共著になる著作。

岡山県のとある中学にて、三年間図書館司書を勤めて、思春期の生徒に向き合い、彼らに読書の楽しみ、意義などを教えてきた読書支援の奮闘記を、まとめた本。

絵本の読み聞かせなどの運動により、小学生低学年までの読書数はある程度延びてはいるが、中学や高校の生徒の読書離れはかなり進んでいるのが現状とか。

小学生までの子供たちは家族や地域の人間関係の中で育ち、遊んだり。声を掛け合ったり、仕事の手伝いを通じて、日々の生活を実体験することが十分できるならば、あえて読書から学ぶ必要はあまりない。どのみち大人になってからも読書にかかわり続けるものはそれほど多いわけでもない。

しかし、中学、高校、さらに大学にかけての時期には、読書習慣を身に付けていることが、大きな意義を持つ。小学生までの読書支援は、むしろその先の時期を準備するものとして行われるべきもので、小学校高学年で燃えつきてしまうような読書に児童を追いやるのは間違っている。

思春期の読書が大切になる理由は、この時期が危なかしいにもかかわらず、大人からの直接的な援助が受けにくいからだ。自我に目覚め、反抗したくなる時期を迎える。端から見れば無益な反抗に見えることが多いものの、かといっていつまでも親などの言いなりでは、自立心を育てることもできなくなる。

子供たちが自分で道を見つけ、例え間違ったとしても、それを人のせいにせず、自ら結果を引き受け、より良い道を探すようになる。そうしてこそ、子供は大人になる道を歩むことができる。

その解決策として読書による「物語から得た経験」がある。もちろんひとつだけ読んで事足りるわけでないし、作品により様々な判断があって、どれが正しくてどれが間違いだと一概には言えない。それでも数多くの読書体験を持っていて、疑似体験を持っていれば、それだけ解決のヒントが蓄積される。どれを選ぶのも自分であり、間違いを犯しても責任を追求されるわけではなく、やり直しの仕方も学ぶことができる。
そうした時期の子供たちをいかに読書に近づけ好きにさせるか。そうした実践奮闘記がこの本には溢れていて、取り上げられた作品にも興味を覚えて、読んでみたくなる。