小学校を舞台にしたいつもの時間でありながら、ちょっびりふしぎな出来事を描いた話。目次を見ると、朝から始まり、一時間目、二時間目、三時間目、四時間目、五時間目、六時間目、放課後、暗くなりかけて、最後に夜と、全部で十編の話が描かれている。

とはいえ、同じ学校の同じ登場人物による連作ではないようだ。巻頭のページにこう書かれてある。

これは
いくつかの小学校の
それぞれの季節
それぞれの時間のお話

私にとって印象的なのは最初の朝。
遅刻しそうなたけしは全速力で学校に向かう。朝礼のある日で、合図のチャイムがなり、みんな校庭にあつまりつつある。教室に鞄をおいて急いで校庭にいかないと。
今週の目標は朝五人以上の人とあいさつしよう。でももう無理かな。二階の教室に向かう階段で、クラスメイトの四人が降りてくるのにすれ違い、四人とは挨拶できた。あと一人、でも教室はから。後ろのすみに金魚がいる。ならばこいつが五人目だと、あいさつする。もちろん返事はない。だめ押しにともう一度大きな声で、おはようというと、なんと返ってきた。小さな声で泡を吹き出しながら。
隣の教室では松葉杖のさなえは先生から朝礼にでないでいいと言われ、一人教室に。このクラスにはセキセインコがいる。話すインコもいるらしいが、これはしゃべらない。それがかすかに聞こえた。おはよう、と。ドキドキしながらさなえも答える、おはよう、と。背中合わせの壁を隔てて、互いに挨拶したのか?金魚やインコが挨拶したのか?

一時間目では保健当番のみどりがゆううつそう。朝の会のあと、当番が先生が書き込んだ健康観察表を保健室まで持っていく。みどりは一人ではトイレ以外いけない引っ込み思案。心配した母はみどりがお気に入りの緑のワンピースを着せてくれたのだが。できないくせについうなづいてしまう。先生に聞かれたときも頷いた。教室から出たものの、足が動かない。
学校の廊下には色とりどりのピータイルが張られていて、修理の度に色がまざりあっている。トイレに行くときは緑だけを踏んでいく。ならば同じようにいけば安全かも。
そこへ後ろから黒猫がきて、黒いタイルを踏んでいる。しかもしゃべっている。体は黒だし、名前もクロ、だから黒いタイルを踏むと。二人は競争するように踏み進む。色が途切れたら、へ理屈つけて色を変え、気がついたら保健室の前だった。二人は友達になる。

どの話も少しふしぎなこともあり、楽しい話だった