主人公は十一歳の少女ファーン。幼い頃から不思議なことが回りで起こった。絵本からコオロギが次々飛び出してきたり、コウモリがビー玉になったり、雪が白い紙になり、文字が書かれている。並べかえたらこんな文章に。「なにごともありのままではないのでは?」
彼女の楽しみは本。いつか部屋を本で満たしたいという夢を持つ。両親はともに会計士できちんとしていることが好きで、ファーンにはつまらない。不思議な出来事を話しても信じてもらえず、いつか身の置き所もない孤独な少女に。

そんなある日、ボーンという男が息子のハワードをつれて現れ、自分が本当の父親だという。生まれたときファーンとハワードが病院で取り違えられたのだと。両親に比べて、彼の方がファーンの外見は似ているし、出産直後に亡くなった母親のエルザはファーンに瓜二つ。そんなわけで夏休みをファーンはボーンのもとで暮らすことになる。

ボーンは元はサーカス団員で、今はダレデニアンだという。なんにでも変身できるのだと。ただ亡くなったエルザに比べ、ボーンはあまりうまくできない。エルザは生まれながらのダレデニアンである上に、『ダレデニアンになる方法』という本を得て、技を磨いた。ダレデニアンができるのは別の誰かになることと、他人がいい人間になる手助けができること。エルザが亡くなり、その本も行方不明。しかもかつての友で、エルザをめぐって争ったマイザーというものもその本を狙っている。

もしかしたら、その本はエルザの実家に隠されているかもしれない。ということでボーンとファーンは、祖母の住む下宿屋に偽名で入り込む。マイザーも偽名で来ている。

祖母の下宿屋は読書家限定と看板があり、中に入るとそこら中、本で溢れかえっている。読書家判別テストがおこなわれるが、ファーンは難なくクリア。

目当ての本を探し出す謎解きと、居場所がなかったファーンが本当の父親や祖母により、落ち着ける場所を見つけるまでの様子を描いた作品。

所々に著者が登場して、ファーンのことばかりでなく、自分のことなど書いていて、納得できるところもあれば、ふざけてるとしかおもえないところもあり、面白いが、いまいちかな。

祖母のファーンへのテストばかりでなく、著者自身の割り込みの文章中にも、ファンタジーや児童文学のタイトルがいろいろ出てくる。巻末にはリストもついていて、知ってる作品があると楽しい。