最初にこの作品に気づいたのは文庫を見かけたとき。表紙絵のかわいい子供たちの姿がなんともほほえましい。この絵は単行本でも同じなんだ。

シノダシリーズの第一巻をやっと読むことができた。やっと、というのは時間がかかったと言うことではなく、読みたいと思ってから実際に読むまでの時間、期間の長さに対して。

主人公は五年生の長女ユイ。三年生の弟タクミ、三歳で幼稚園児の末っ子モエと、三人兄弟。大学で植物の研究をしてる、のんびりしたパパのハジメ。背が高くて、がっしりしてるけど、きれいなママのサキはいつも陽気で明るくて、どんな困難にもへこたれないファイトあふれている。実はそのサキママの正体はキツネだった。それがこの信田一家の秘密。だからママの親類はみなキツネ。ちゃんばら好きで、いきなり応接間に現れてはテレビを独占する鬼丸おじいちゃん。おばあちゃんの妹で、突然現れては災いを予告するホギ大おばさん。ママの妹で、おばさんと呼ばれるのを嫌うスーちゃん。そしてこの作品というよりは、たぶんシリーズすべてで、トラブルメーカーであるママの兄、夜叉丸おじさん。おばあちゃんのイツキはパパとママの結婚に反対していて、いまだに絶縁状態。

例のごとく、ホギおばさんの予告で持ち上がる騒ぎ。竜の子が現れて、マンションの浴室に住み着いてしまう。こちらはどうもおじいちゃんが招いたものらしい。

夜叉丸おじさんは冒険好きで、あちこち行っては、知らずに厄介なものを持ってきては騒ぎのもとになる。今回は蛇たちが宝にしている石を信田家に持ち込み、タクミの背中にウロコが生えたり、宝を取り戻すべく大量の蛇がマンション前に集合する。

夜叉丸おじさんが持ち込んだ不思議な木の実。成長を止めるものだと思っていたが、実は逆の働きをする木の実。ママはそれを使って、裏山の頂上で竜の子に食べさせて成長させて、空に返そうとするが。

登場人物が誰も魅力的で、安心して騒ぎの成り行きを楽しめる作品だった。災いは誰にも訪れるが、それに立ち向かい、乗り越えることで不幸を免れることができる。ママの考え、方針が頼もしい。

合の子になる三人の子供たちは不思議な能力を授かっているようで、ユイは風の声が聞けるし、タクミは過去か未来かはわからないが、映像を見ることができる。末っ子のモエには動物の話がわかる。彼ら一家の活躍をさらに読みたくなる。