はじめて読む作家だが名前だけは知っていた。『竜巻ガール』とか『禁煙小説』というタイトルを図書館で見かけて、読みたいと思ったときには見られなくなって、いまだに読んでない。かといって予約待ちしてまで読みたい気もなくて。

今作は新刊情報を携帯で見て、すぐに予約を入れた。何かいいなと思っただけなんだが、読み終えて、やはりよかった。

片づけ屋と呼ばれる大庭十萬里は、あなたの片づけ手伝います、というブログが出版されて、マスコミに多少知られたおばさん。彼女の片づけの仕事4ケースの連作短編。

最初は三十代のOLがターゲット。就職して十年、最近は帰省もせず、音沙汰もないことを心配した両親が所用で上京したついでに娘の部屋に入ってみると、汚部屋になってる。教育者の両親は単なる片づけの問題ではなく、意識とか心理にも問題があると思い、十萬里に片づけを依頼する。十萬里の考えでは片付けられない原因は心にあると。それを見極めた上で片づけの方針を決める。

OLは妻子持ちの同僚にプロポーズされてから5年、彼の離婚と自分たちの結婚を黙って待っている。騙されてるとか感じながらも、押さえつけているうちに行動まで、ずぼらになり、ついには汚いという感覚までなくしかけていた。彼女の部屋をまず一巡して、片づけの方針を決めるのが十萬里のやり方だが、同時に心の問題点まで探りだしている。それを片付けることで、生活の片づけも自主的に漸次進んでいく。

二番目には木魚作りの職人の老人。妻をなくし、家事や生活を妻任せにしていたため、生きる気力さえなくしかけていて、近所に住む娘の依頼で行う。娘が好きで家事をしてくれてると思い込み、娘がどれだけ無理をしていたかをわからせることで、自分で家事を行うことに目覚める。引きこもりになりかけていた娘の息子も、祖父と暮らすことで生きる希望を見いだす。

古くて大きな屋敷に一人住まいの老婦人。場所はあるから古くからのものや使わないものでも捨てられず残っている。もったいないと同時に懐かしくて捨てられない。

最後の話では高級住宅に住む、元スッチーの家事をなにもしない家。二人の娘もぐれかけている。原因を探っていくと、五年前に事故死した長男のことがわかる。死んだ我が子のこと以外なくなった。同じ事故でなくなった子達の母親を探し出して、三人で亡き息子のことを思いきり話すことで、心を癒し、踏ん切りさせる。