予想外によかった。父と娘の二人暮らし。成長した娘が夢に向かって飛び立とうとするときに、父はどうしたらいいのか?

最初この本を手にとったときには失敗屋という珍しい仕事と父親検定なんて言葉に引かれたのだが。予想外の展開だったが。

父親細野は人材派遣会社に勤めていたが、いつも失敗ばかり。それでも首にもしないでくれた坂本社長から奇妙な仕事をすすめられる。
彼の失敗の度に相手に謝罪にいった坂本は奇妙なことに気づいた。失敗を契機に職場に活気が出ている。失敗をカバーするために職場仲間が頑張り、いつも以上の力をだし協力して、かえって職場を活気づかせている。それなら逆手をとって、わざと失敗をして職場を活気づかせ、社員の人間関係をよくすることもできると。そんな世間にはあり得ない仕事をしている細野。

いまやファッション雑誌のカリスマ編集者として有名な西園寺由美の一人娘で、プロのクラリネット奏者になったばかりの亡き母聡美。四歳で母を亡くした娘の清江を祖母の由美は引き取ろうとしたが、娘は父親から離れようとしなかった。

そんな娘もいまや女子高生。親子の会話も表面的。父親はけむたがれている。そんなある日、細野のもとに父親検定なる案内が来る。娘の気持ちをわかっているか?健康か?家事はできるか?ひとつでもできないと親権を取り上げるとある。
すぐに亡き妻の母親の差し金だと思った。差出人は彼女の顧問弁護士だ。二ヶ月後には健康診断をするし、検定も始まっていると書かれている。

ヘルパー任せの家事を始めたり、ダイエットに励んだりしながらも、手がつかないのは娘との関係。嫌われたり無視はされないが、娘の気持ちがわからない。気持ちが伝えられない。悩んで、社長に相談すると、親子関係などに悩む失敗屋の仕事を回してくれて、次第に大切なことに気づいていく。スーパー、ケーキ屋、文具店、広告会社に派遣されては、親子関係、上司と部下の関係などの問題を失敗を契機に解決していく。さらに酒屋ではバイトの娘と鉢合わせし、父の奇妙な仕事を知られてしまうが、関係修復の糸口になる。最後には亡き妻の母由美の職場に派遣され、由美の後継者選びに奮闘し、はじめて婿として認められる。娘の留学試験も済み、父親検定も無事クリアした。そして検定の真の発案者の正体を知り、びっくり。しかし納得。