ダイアナ・ウィン・ジョーンズの初期の作品。霧にかすむ緑の湿原に暮らす、三つの種族が、呪われた首環により起こった争いを、最後には話し合いで解決する物語。
三つの種族は、人間と水の中に住み、変身できるドリグ、そして巨人。この話の主人公は人間の一部族の長ゲストの次男ゲイア。早くから特別の能力があるとわかった姉エイナと弟セリに比べて、無能であることと、英雄の父とわかりあえないことに悩む。がそれをきっかけに同じように、父親との仲を悩んでいたドリグの王の息子ハフニー、湿原の地主の息子ジェラルドと、種族を越えた友情を感じることにより、長年敵対してきた三種族の融和に貢献する。

呪いのもとはゲイアの母、賢女のアダーラが幼い頃に端を発する。長の息子であることに驕っていたアダーラの兄オーバンが、偶然出くわしたドリグの王の息子を所以なく殺害し、金の首環を奪ったことに始まる。殺されたドリグが死の間際に強力な呪いを首環に縫い込んでなくなった。

英雄ゲストが賢女アダーラを妻に迎えるために協力を求めたドリグの後継者と巨人たる地主。協力の見返りに渡した金の首環。知らずに呪いの首環が地主のもとにいく。

ドリグとの争いで、自分の無能力にあきらめたゲイアがジェラルドと知り合うことで、呪いの首環の存在が表にでて、ゲイアはそれをもとに争いを止めるためにドリグの王に会いに行く。生け贄にされかけたりしたものの、最後には三種族の話し合いのもと、互いの悩みが解消され、三者が平和的に生きる道が見つかる。

はじめは巨人ってどんなものかと思っていたが、私たちから見たら巨人は英国人なんだ。舞台の湿原はロンドンに程近い場所にあり、そこを貯水池にして、水不足を補おうという人間の勝手さが招いた問題。

三種族とも自分達を人間だと名乗り、他の種族を別名で呼んでいる。人間から見たら、主人公の種族もドリグも小柄で、魔法のような力を持つ。妖精のようなもの。水棲と思われたドリグも、実は水底の中に住まいを持ち、空気で生きている。

ジョーンズらしい捻りはないが、なかなか面白く読めた。呪われた首環はトールキンの指輪みたいなものだし、少年が主人公で、彼の思いや行動に寄り添いやすいため、わかりやすかった。種族を越えた友情や父子関係の難しさも考えさせる。