ようやく読み終えた。それほど分厚くもない本なんだが、少し期待外れだったかな

東京の東部、荒川と隅田川に挟まれた墨田区の町に住む二人の幼馴染みの老人の物語。共に73歳。三角州のような土地には、江戸時代から多くの運河があり、二つの川を結んでいる。とはいえ昔のように運河を使うものは少ない。観光客用のボートか、川沿いの問屋に商品を卸す職人くらいしか船を持たない。

源こと源二郎はつまみ簪職人。羽二重を糊びきした布を加工して、簪の飾りを作る。名人級で、早くに妻を亡くし、子もなく一人。ただ今は元ヤンキーの徹平が弟子入りしている。

徹平には年上で、指名トップの美容師マミという彼女がいる。

政こと国政は大学を出て銀行に就職。見合い結婚した妻との間に二人の娘がいる。しかし仕事人間で家族サービスなどしたことがなかったため、定年後妻は家を出て、横浜に住む長女一家の元へ行ったきり、別居中。

趣味もなく、独り暮らしの政は近所の源の元へ行くくらいしか気を晴らすすべがない。でも行ってはみても、若い弟子の様子や師弟の仲に嫉妬したり、情けない男。妻と連絡しようともしない。

そんな二人の老人と、若い恋人たちをめぐって起こる、いくつかの騒動や出来事を描いているのだが。それほど劇的なこともなく、少し物足りなさを覚えた。

元ヤンキー仲間に脅されていた徹平を老人が助け出す話とか、孫娘の七五三に何かプレゼントしようとして、果たせず、結局源の簪に助けられる政。台風が襲来した夜、ぎっくり腰で動けなくなる政を源師弟が何かと世話する。迷惑そうな顔をしながらも感謝する政。二人の老人たちの結婚時のエピソード。源に言われて重い腰をあげ、娘夫婦宅の妻に会いに行く政。しかし、けんもほろろの愛想のなさ。政の両親に男児出産をせっつかれたり、介護したりした苦労話と、そんなときも仕事をいいわけに何も助けてくれなかった夫、源への恨み。これからは好きなように生きるのだと夫の元に帰る気のない妻。
最後の話では徹平たちの結婚話。二十歳の徹平と二十七歳のマミの結婚には両方の両親とも手放しで承知はしてくれない。さらに仲人を頼まれた政が、妻に一緒にやってもらおうと説得する。

結局、この四人だけで話が進行している。そこが物足りないのかな?あるいは何かをし遂げた達成感を感じられないのが物足りないのか?

まあ人情話として、つまらないわけではないのだが。