第一章を読んだきり、一日中断していたのを、再度読み始めた。第二章を読み始めたらもう止まらないで、最後まで一気に

東京郊外の商店街の外れに建つ店舗兼用の民家。郵便口のついたシャッターが閉まっている。今は無人の廃屋みたい。

ある夜、三人の若者が訪れる。こそ泥を働き、盗んだ車で逃げてきたものの、エンストして、一人がこの廃屋を思い出して、一夜を過ごすためにやってきた。裏口から入ってみたものの、長いこと使われていなかったようだ。表側にはいくらか商品が残っていて、雑貨店だったようだ。うっすらとナミヤ雑貨店の文字が。

しばらくして、シャッターの郵便口から手紙が投函されてきた。見てみると悩みの相談事。この店は以前そういうことをしていたようだ。夜間に悩みごとをシャッターの郵便受けに入れると、翌朝、返事が裏口の牛乳箱に入っている。当事者以外には目に触れないでやりとりができる。

はじめは面白半分に返事を書いていた三人だが、さらに相談者から手紙が来ると、多少真面目に答えたくなる。
そんなやり取りをしていて気がついた。相談者は三十年前の人のようだ。つまりこの雑貨店が過去と現在を結ぶ空間になっている。

五章までに描かれているのは、現在と三十年前の人々。そして、そのすべてに関係しているのが、三人の若者が過ごしたことのある児童施設だった。

雑貨店の主人と施設を創った女性との奇縁が一番のもとにあるようだ。そして主人の三十三回忌の一夜に、奇妙な空間が出現し、そこへいわば引き込まれるように三人が立ち寄ったということなんだろう。

登場人物たちが、すべて見えない糸で結ばれているかのような話の展開に、一喜一憂したり、ホロリとさせられたり、期待通りの素晴らしい話だった。タイトル通り、奇蹟と言ってもいいかもしれない