手放しで誉めたくはないのだが、馬鹿馬鹿しいと思いながらも、いつのまにか話に引き込まれ、いつしか楽しんでいる。さすが森見ワールドか。しかも考えてみたら、似た設定の話を前に読んでいて、うっすらとしか覚えてないが、ところどころで、これ知ってると思ってしまう。

舞台は相変わらず京都の街。宵山の土曜一日の様子を描いている。祭りの終わったラストの淋しさはよくわかると頷きたくなる。

狸の神様が出てきたり、その屋敷付近の時空の歪みなど、ファンタジー的なところもある。

主人公は小和田君という化学会社の研究員。週日は真面目に仕事してるが、土日の休みには何もしないで寝てるか妄想してるのが好きだという怠け者。

先輩の恩田さんは反対にまめで、休みには彼女の桃木さん連れて、びっしり埋まった予定表にしたがって、目一杯過ごすのが好き。当然後輩の小和田君を誘うのだが、なかなか言うことを聞かない。

近頃狸の面をつけマントを羽織ったぽんぽこ仮面なる正義の味方が世間を賑わしている。
小和田君は土曜の朝、学校の校庭で椅子に縛り付けられた姿で目が覚める。前夜東京に転勤になった所長の送別会に出て、深酒をして意識をなくした。目の前にはぽんぽこ仮面がいて、彼に後を継げと迫る。怠け者の彼が承知するわけもない。そんな彼を救ったのが、これまた怠け者でまともな仕事はしないという浦本探偵事務所で、週末だけバイトしてる女子大生玉川さん。今ぽんぽこ仮面の正体を暴けという依頼があり、それを調査中。

依頼者は五代目と呼ばれるやくざのような団体の番頭。そして、その背後には街を牛耳る何重にも重なる団体がいて、ぽんぽこ仮面をトップにつれていくように命令されている。
小和田君をはじめとした人たちが、ぽんぽこ仮面に関わる騒動に巻き込まれて、冒険を重ねる宵山の一日を描いた話。

現実離れしているがありうる人物、事件にいつのまにか引き込まれ、巻き込まれ、ともに冒険してしまう。楽しい話と、言ってしまうのがなんかくやしい。なかなかよかった。