なんとか最後まで目を通した。いや少し飛ばしたかな。でもまあ今はこれで十分

サルタヒコに鎌田さんが注目するようになったきっかけは、今は亡き作家中上健次に勧められたからと言う。国つ神のことを調べるなら、サルタヒコの謎を解け、と言ったとか。
サルタヒコなる神は複雑な神だと言う。複雑怪奇。神は多様な顔をもつと言われるが、日本の神々のなかで、多くの顔をもつ国つ神の代表が、大国主神と猿田彦大神の二柱。

記紀神話で大神と呼ばれる国つ神は猿田彦大神だけ

サルという言葉が猿かどうかはまたそれで議論はあるものの、猿と表記されてもいる。神の名に動物名もしくは関連した言葉がついている神は、服従しない野蛮な神を下に見ていることを表す。

古事記には神の姿形のことはあまり示されないのに、なぜかサルタヒコは天狗のような表現がされている。

しかもその表現のなかで、その目は八俣の大蛇と同じだし、やたの鏡のように光るとも言う。

こうしたことからサルタヒコもまた太陽神だったとも言える。言わば古い太陽神がサルタヒコで、新しい太陽神が天照大神だったと考えられる

サルタヒコが登場するのはいわゆる天孫降臨を待ち受け、道案内をしたこと。天つ神と国つ神との境界に立ち、結びつける働きをした。それにより新たな世界を創造した神とも言える

それに関連して、沖縄では、先導を意味するサダルという言葉があり、その名の神を持つ島もある。それがサルタヒコになったとする説もある

全国に猿田彦神社と名乗るのが六十六社、祭神とする白髭神社が二百十八社。猿田彦大神を祭神とする神社の総数が三千三百三十四社もあるという。その多くが、黒潮や対馬暖流の潮の流れに沿ってある。海洋神とか塩土の翁と見なされることもある。

境界にいたことから、道祖神として祀られることもあるし、庚申信仰の神とも言われる

こうした様々な顔をもつサルタヒコをめぐって各地を訪れて、感じたこと、考えたことを述べた本だった。

天つ神として猿田彦に対峙し、屈服させて、のち夫婦神となったウズメについても論考されている。

まとまって書かれたものではなく、アチコチに寄稿した文章を集め並べたもので、読みやすいが、繰り返しや物足りなさもあったが、なかなか興味深かった。他に論集のような本もあるが、また何か読んでみたい