小川さんらしい、心暖まる話。一羽のオカメインコが人々の心を癒し、生きる希望を与える

すみればあちゃんと孫娘のひばりに卵で発見され、孵化し、一人前になるまで大事に育てられた小鳥。すみれさんはその小鳥にリボンと名付ける。すみれには自分とすみれ、祖母と孫娘を繋ぐリボンだと説明したが、それだけではなく、もっと深い意味のあったことが、ラストの二十年後の二人の会話で明らかになる。

すみれさんの若かりし頃の悲恋と、その原因になったベルリンの壁。歴史的な事実としては知識として知っていても、その境界付近に住んでいた人々の悲しい運命にまでも思いが及ばなかった。こんなこともあるんだ

ある日、小鳥は二人のもとから飛び立ち、何人かの人々と関わり、人生に希望を失いかけていた彼らに、再生のきっかけを与えていく。そんな話が三つか四つ挟まれた構成になってるが、私には挿し絵画家の老婦人と、雑誌編集の若い女性との関わりの話が、妙に印象的だった。

この作品は雑誌「花椿」に連載されたものが元になっているそうだが、その時のタイトルが、「きいろい天使」というそうで、まさにその通りだな。私自身は小鳥を飼ったこともないし、鳥が好きだとは思っていなかったが、こんな話を読むと、飼ってみたい気もしてくる。

しかし、この作品のリボンのように、飼い主の心と通じ合うような小鳥は本当にいるのだろうか?教えられた言葉にせよ、状況にぴったりな言葉を話せる小鳥など実際にありうるのだろうか?

はじめは取っつきにくくて、実は今夜のうちに読み終えるのは無理かなと思っていたが、いつか引き込まれてしまい、いくつかのエピソードを読みながらも、すみれさんはどうしたかな?またリボンに再会できたらいいなと思っていたが、それはできなかったようだ。小学生だったひばりが成人し、三十を迎える頃にすみれさんは息を引き取る。しかし車イスになり、寝たきりになった頃に、ひばりに断片的に漏らした話から、すみれさんの悲恋や、リボンへの思いを想像できるようになる。ベルリンの壁により、恋人と引き裂かれて帰国したすみれさんは孤児を養子に迎え、それにより孫娘を持つことができた。そしてリボンの誕生。何か目に見えない絆で結ばれているような。人生って、悪くないな