予想以上によい作品だった。

小学校の五年で、父親の転勤で転校した主人公、聡。退職し妻もなく、独り身でアラフォーの娘と二人暮らし。娘の転職で60年あまりたって戻った故郷の街。

コンビニで声をかけてきたのは弘。小学校での同級生。頭がよくて腕っぷしもあるのに、なぜか聡には敵わず、尻尾を振っていた男。昔話に花が咲く。当時のクラスは四年から六年まで持ち上がりで、クラスメイトは同じため、地元にいるクラスメイトで3ヶ月には一度集まっている。次の集まりに参加しないかと誘われる。

そして出会ったクラスメイトが十人足らず。女性は当時のマドンナ規子だけ。集まった席で、いい年してボディービルで体を鍛えているという明男が奇妙な提案をする。誰が一番長生きするか、賭けをしないか?金をかけておき、最後に残ったものが独り占めする。
半分冗談かと思い、結論は次回に伸ばして別れたのに、肉体自慢の提案者自身が翌日に脳梗塞で死んでしまう。縁起でもない提案に気が乗らなかったメンバーだったが、こうなると故人の遺志も尊重したいと、賭けを始める。一口440円からだったが、大会社の会長もいたりして、集まったのは五千万円あまり。銀行に預けては、もしもの時引き出せなくなると、聡が現金で預かることになる。

最初の集まりのあとで聡はエリと名乗る二十歳の娘と知り合い、その後居候として同居する。エリが素性をごまかしていたことから一時聡のもとから逃げ出した。しばらくして帰った時には、エイズにかかっていて、余命三年とわかる。それで彼女も賭けの仲間に加わることになる。

章を追う毎に仲間が次々と亡くなり、エリさえも先に旅立つ。この場面で私はつい涙がこぼれてしまった。

マドンナは集まりに来てもすぐに帰ってしまい、今どんな暮らしをしているのかわからない。弘に聞くと、本人に聞けという。そんな規子の秘密、彼女の苦労の様子を描いた章がおしまいの方に並ぶ。
最後に残ったのは聡と規子。倒れて意識不明になった彼女のために、聡は掛け金は彼女のために使おうとする。寝たきりの父親と認知症の夫を抱え、年金暮らしの規子。聡は自身の肺癌がわかり、死期を悟った。意識がないうちに彼女の父の葬儀を済ませ、彼女の夫を高額だが安心できるホームに入れる。そして目が覚めた彼女。彼女を残し、聡は先にあの世のエリに会いに行く。

やはり年よりも男と女の関係の方が心に響くのかな