結局、一日がかりでどうにか読み終えた。

著者はアメリカの歴史学者で、近代アメリカが専門だが、おもにアメリカと諸外国との関係を研究している。その歴史を十分に再現するために映像メディアの利用を考えている。この本にも映画の手法を意図的に利用している。

著者自身の日本体験の意味を探るために、百年前に同じように来日し、教鞭をとった三人のアメリカ人を選んで、彼らの日本体験を通して、自らが感じた思いを解き明かそうとした。

選ばれた三人は共に明治始めに来日し、のちに古典的な日本論を書き、アメリカ人の日本認識の形成に影響を与えた。宣教師、科学者、作家と職業も違えば、性格も日本への思いも違うし、互いに親密な仲になったわけでもないが、三者三様にアメリカ人の代表として選ばれた。

来日した外国人が日本に与えたものではなく、逆に彼らが日本を体験して、どう変わったのか。その点に著者は興味を覚えたそうだ。三人が残した著作や手紙などを読むことで明らかになったことを叙述することで、現代の異文化体験にも寄与しうる。

本文は五部に分けられ、三人の来日体験を描く。最初に来日時の印象、次いでそれ以前の彼らの略歴、そして来日体験の諸相を場所の移動や時間の移動で二部に分けて述べ、最後に彼らの晩年まで飛んで、彼ら自身に体験の意味を総括させている。

各部ごとに、三人に関する叙述が並列的に並べられている。
彼らの体験を読者にも追体験できる様にと、叙述には通常の歴史には使われない映画の手法や文学的な表現がなされていて、よむものにはわかりやすいものの、客観性はあるのかな。

来日体験の外的風景や内的感情を描くことで、その情景を思い浮かべることは楽になるが、ただその人物がよりわかるようになるわけでもないし、業績もわからない。異文化体験の渦中にあるものには得るものはあるのかもしれないが、たとえばハーンのことやその作品をより知りたいと手に取った私にはあまり役立たないかも。

まあ読んでみないとわからないのだから、読んだことを後悔はしないが。