面白かった。少女の成長物語とも言えるし、恋と冒険のファンタジーでもある

舞台はルネサンス期の北イタリアの小国。ヒロインは金細工師で魔術師でもあるベネフォルテの15歳の娘フィアメッタ。短気でお転婆、恋を夢見る乙女。魔術の素質はあるのに、女だからと教えてもらえない

二人の住むモンテフォーリア公国の姫様に婿ができて、宴会が行われた席で、口論から、公が婿のフェランテに殺され国が彼の軍に占拠される。その時、フェランテの指にスピリット・リングがあったのにベネフォルテは気づき、その魔術を解き放してしまう。それは死霊の魂を指輪に封じ込めて、その力を利用しようとする黒魔術だった

公も近衛隊長のウーリも殺されたことで、逃げ出したフィアメッタ親子だったが、兵隊に見つかり、父は殺される。父の死骸を運びながら逃げる彼女は、ある宿にいるところで、父の死骸をとられてしまう。もしかして父の死骸は新たなスピリット・リングを作るために使われるのではないかと不安になるが、なすすべもないフィアメッタ。

前から兄ウーリに町へ来ることを誘われていた弟の鉱夫トォールは、兵隊ではなく金細工師の徒弟という便りで町に来ることにした。そしてその途中で、フィアメッタに出会う。

兄の消息も知りたいと二人で町に来て、公の跡継ぎが避難している修道院長に頼まれ、スパイとして町に潜入。やがて見つかり、辛くも逃げ出し、再びフィアメッタに会った。二人はフェランテの部下で魔術師のニッコロに対抗するために、父親が作りかけていた銅像に、亡き近衛隊長の魂を封じ込めて無敵の戦士を作る魔術を行うことにする。父の残した書き付けを見ながら、彼女は一世一大の魔術を行うことになる。
はたして無事敵を倒せるのか、そんな話だった。

活発な少女に、おとなしいが力強い青年コンビがなんかほほえましく楽しく読めた

著者はSFのシリーズ小説を書いている作家だそうで、ファンタジーはこれ一冊とか。こんな話ならもっと読んでみたいが。訳者の巻末解説では、フィアメッタの母親のことはムーア人だとしか書かれてなくて、そこに何か秘密があり、続編もありうると書いているが