やっと最後までたどりついた。実は前にも一度借りたことがあり、その時は数ページだけで中断して、返却してしまった。

今回もどちらかと言えば退屈しながら読んでいた。時間の流れがスローな世界

南房総の家には、庭の片隅に石の塔がある。これといった意味もなく、失踪した建築家が建てたもの。妻の実家の離れを別荘がわりに借りていて、そこの隅に建てた。自宅は荻窪のマンションだが、海の見えるそこは夫と妹娘の明日香にはキニイリの場所だった。

妻と二人の娘がいて、何不自由なく暮らしていたつもりが、ある日夫がいなくなる。独立して経営していた建築会社には負債があるとわかったが、さいわい夫の父親が持ち家などの処分で始末してくれた。
そして夫の失踪で、混乱していた妻佐和は病の実母の世話をするために単身房総に行くことで精神的な打撃から回復する。実母の死後譲られた屋敷を改造して、美大時代に習った草木染めの工房を始める。姉娘は大学出てから旅行会社に勤務。荻窪で独り暮らし。

妹の明日香は短大出てから房総に来て、近くでバイトしながら、母の手伝い。近所に住み、大学中退でサーフィンの合間にペンションで働く青年宣を恋人にしてる

母の佐和にも画廊主人の水城というボーイフレンドがいる。若くして妻を亡くしやもめ。
親子二組のカップルを中心にしたゆっくりした時の流れが続き、なんかじれったい感じ。ともに結婚という形を言い出せないまま。佐和には失踪した夫の影が残り、塔を見るたびに思い出される。明日香はお父さん子で、塔も気に入ってる様子

後半、水城に頼まれて佐和は韓国人留学生を弟子として受け入れる。彼女との出会いで影響を受けたのかな

サーフィン事故で命だけは取り止めた宣は、毛嫌いしていた両親の元に戻り、サーフィンはあきらめて、別の道をいくことになる。明日香とは別れた。明日香はなんとか自分の道を見つけようとして、タイ奥地の民族の織物を勉強に行くことにする。
そんな母子は塔を取り壊すことを決意して、自分の道をいくことになる。堅物だった姉もどうやら出来ちゃった婚の様子で、新たな道を見つけたようだ

父親、夫の失踪で生まれた家族内や個人内の穴を修復し、新たに出直すまでの様子を描いたものなのかな。面白いとまでは言えないが、最後まで読んでみると、そこはかとない思いを感じる

それにしても草木染めって、なんでもできるんだ。前に梨木さんの小説でも出ていたが。