面白かったわけではない。はじめは少し退屈して、読むのをやめようかとも思ったが、いつしかことり小父さんに引かれてしまった。
人間の言葉を話せない兄。まるでことりのさえずりのような。そんな兄の言葉を弟は理解できる。

両親が次々と亡くなり、兄弟は二人暮らしに。勤めに出られない兄に代わって、弟が近所の会社のゲストハウスの管理人となる。時間の融通が利き、兄の様子を見に帰宅できる。元は別荘だった屋敷にはバラ園もある。

ゲストがない日は昼休みにサンドイッチを買って帰宅し、兄が缶詰のスープを温めて待っている。朝庭で聴いたことりの鳴き声くらいか兄は話さない。

子供の頃から好きなアイスキャンディーを買いに、兄は今は一人で近所の薬局へ毎週水曜に通う。その包み紙をためて張り合わせてカッターで切って、ことりをつくる。昔最初に作ったことりはブローチとして母に贈られた。

週末は買い物か図書館に行くくらいの弟。あるとき休暇をもらい兄と旅に出掛けようとしたが、近くの幼稚園の鳥小屋の前までで、兄は帰ってしまう。以来二人で旅の予定をたて、準備だけをするようになる。

二人で幼稚園に出掛け、いつまでもことりのさえずりを聞く兄弟。兄にはことりの言ってることがわかるらしい。

そんな生活が20年あまり。兄は幼稚園の鳥かごのそばで亡くなっているのを発見される。知らせてくれた園長先生。訪れた弟に声をかけ、中に入れてくれる。兄がなくなり、ことりもさみしがっていると。ことりたちに連れられてきっと兄は天国へ行っただろう。弟は思わず園長に申し出る。鳥小屋の掃除をさせてほしいと

以後弟は朝晩、誰もいない頃に小屋の掃除を続けていく。そんな彼をことりのおじさんと呼ぶ園児もいる

そして図書館で鳥の本を借りて読むのが習慣となる。一見無縁のタイトルでもことりがいるのが彼にはわかった。
そんなおじさんにある日声をかけた若い女性司書。鳥の話で会話。いつか淡い恋のような思いを意識した頃、彼女はいなくなる。臨時職員で、結婚したらしい

兄に代わる司書、女園児、虫の声を聞く老人などとのわずかな繋がりのあと、怪我をしたことりの世話をして、そして孤独死したおじさん。世間の片隅でひっそりと生きた、ことりおじさんの一生を描いた作品だった。なんかいい。感動と言うほどの思いはないが、心暖まる人、世界を見た感じかな。まだ何作も読んでないが、気になる作家だな