予想通り、いい話だった。面白かったとも、泣きたくなったとも言うほどではないが、心に暖かなものが流れてくるような、しんみりとさせる

大輔は劇団でシェイクスピアを現代ものに翻案した芝居をしてる。がそんなに人気があるわけもなく、デパートで着ぐるみ着たり、芝居ができることから、異色の派遣もしてる。家族などの代理人を勤める。最近子役の求人が多く、回りに子供がいないことから、施設の子を週末里親として連れてきて、派遣仕事に参加させることを思い付く

大学時代から芝居を通じて友人となり、今は妻として、衣装係と事務を担当している瑞穂。実は彼女は無性愛者。いわゆる男女の交わりをする気になれない。大輔が病で入院したときに、独り者だと手続きが煩雑になるからと、婚姻届して夫婦にはなったし、友達や同士ではあるが、当然子供はできない

母親が十代で妊娠し生んだものの、育てられずに施設に引き取られたひなたは今、十歳。施設での芝居で見事な演技をして、子役を求めていた大輔に認められて、里子として週末だけ大輔、瑞穂夫妻と共に過ごすようになる。

ひなたの演技に、役者としては大根の瑞穂ははじめは恐れを抱いた。末はどんな役者になるか、詐欺者になるかと

瑞穂は心配性で、しかもピントが少しずれていて、なんでそんなとこにこだわるの?といったことが多い。ひなたに対しても、母親にもなれず、先輩にもなれず、はじめは戸惑うばかり。しかし、何度か派遣の仕事を重ね、一晩でも同じ部屋で過ごすようになると、気持ちが変わっていく。
シェイクスピアを尊敬するあまり十年たっても同じような芝居ばかりで、看板女優は巣だって行き、久しぶりに会ったら非難されるだけ。かたくなだった大輔を変えたのはやはりひなただった。原作に忠実に芝居していたのが、施設でのクリスマス会の台本をひなたに批判され、ひなたに書いてもらったことで、ようやく一皮むけた。
そんな大輔と瑞穂はひなたを養女にするのかと思われるところもあったが、結局そんなありきたりの関係にしないで、生涯を共にする連れになる、そんな関係に落ち着いたようだ。新しい家族というよりは、チームメイトになった。そんな家族形態もいいかもしれない。