いいね、感動できる話だ。ラストには涙が出そうになった

定年間近な証券マン仁科。今は第一戦ではない部署にいる。一年前に、定年になったら一緒に旅にでも行こうと、娘を嫁に出して、二人きりの妻に提案した。するとバイオリンをたしなむ妻は、それよりピアノを習ってという。一緒に合奏がしたいと。結局妻に押しきられる格好で、仕事のあと金曜の夜に、大人相手のピアノ教室に通うようになる。一緒に学ぶのは四十代後半の医療関係のサラリーマン。三十間近なIT関係のライター。アラサーの派遣女子。

そんなときに一人思い出の地を旅してた妻がホテルの部屋でくも膜下で倒れ死亡したとの知らせが。別居してる娘と二人オランダに向かう飛行機の中。話はそこから始まる。

音大を出たあと、一年オランダに留学した妻は、最初音楽一家のところにホームステイした。妻と同じくらいの年齢で、カラヤンを思わせる風貌のオランダ人が迎えてくれた。妻とは親しくしていて、亡くなったときにも同席していたという。ホテルの妻の部屋で。まさか不倫してたのか?
妻のいない自宅の寂しさから、しばらく休んでいたピアノ教室に顔をだし、事情を話すと、終わったあと食事に誘われる。その時に出会うのが、ビルマ難民の少女

その少女をピアノ教室で預かったりすることで、彼女の両親のために、生徒たちは協力することになる。難民認定されないため、捕まっている少女の父親。裁判に勝ち、難民認定を受けるまでに関わることで、互いに持つ悩みや考え方が少し変わっていく。裁判に勝ち、親子三人が無事に日本で暮らせるようになった彼らを見て、生徒たちも家族のことを考え直すようになる

仁科は妻への疑心暗鬼を払拭するために、妻の親友を訪ねて、真相を知ろうとする。そして明らかになった妻のこと、妻の思い、願い。最後には妻が残したバイオリンのテープと合奏するピアノを弾く。このラストは感動的だ

ミステリーの作家だと思っていたが、こんなのも書いているんだ。また読んでみたくなった。『夏の魔法』もミステリーではない作品らしい。離婚して、幼い頃に別れた息子が、父親の牧場に現れたときは引きこもりだった。それが牧場の生活で生まれ変わっていく、そんな話らしい。今度借りてみようと思う