なんとも奇妙な話だった。黄金町という、どこか田舎の古い町。そこに越してきた青菜夫妻の日常を描いている話なんだが。現実にはあり得ないものが、当たり前のように出てきて、ファンタジーのような気もするが、描かれているのは普通の暮らしなんで、奇妙としか言えない、それでいて、なんとなく心がほっこりする。

結婚して三年の青菜夫妻。子供ができないのを気にして、あれこれ不妊治療をするために夫には内緒で金を使っている青菜。

家庭教師をしている夫の給料だけでは生活はできても治療ができない。引っ越しとともに新しく始めたDTPに期待して、派遣事務員をやめてしまったが、期待した仕事は、駄目になり失業して困る青菜。

道端でアクセサリーを売ってる男に声をかけられたことがきっかけで、その男千ちゃんのもとで働くことに。そしてその恋人のダイヤさん、元恋人のマサエさんや町の奇妙なおじさんたちと知り合っていく

昔周囲の町と鎖国していたという黄金町。中心にたつ黄金寺では閻魔様が祭られていて、正月に参拝されている。この寺に捨てられて育てられたあーちゃんと呼ばれるいたずら者の子供。民話の時代から現在まで続いていて、千ちゃんも昔はそうだった。十三歳になると過去を忘れてしまう。

元警察官で定年してる不動さんは町の広場で剣を振り回すし、質屋で見つけた指輪は話ができる。公園の池では今でも毎日蓮の花が開くと中に小さなお釈迦様が座っていて、花がしぼむと一緒に水の中に沈む

これという事件もないが、けっこう面白く、こうした超常現象がたんたんと書かれていてアクセントになっている。

青菜夫妻の平凡な夫婦生活に訪れたちょっとした危機、千ちゃんとダイヤの仲に出てきた危機が主な事件かな