この本は、本の本ではなく、本棚についての、本棚をめぐる、本棚のあれこれを考える本なんだそうだ。

著者は吉田篤弘さんなんだが、夫婦でしごとするときは、クラフト・エヴィング商會という屋号を使うそうだ。この本もそれ、ということは奥さんもデザインなどで、この本の製作に携わっているのかな

今は夫婦の本棚だが、かつては吉田さんの本棚だった。そこに並ぶ本の背、タイトルが印刷されている本の背を写したカラー写真がいくつも収録されている。そしてそれぞれにタイトルがつき、本についての簡単な説明の文章がつづいている。

それだけの本なんだが、前書きというか、序文というか、本のタイトルを表題にした文章が最初にあり、読んでると共感する部分がある

ここに並んでいる本のことは誰よりもぼくが知っている

全部読んだのですか、とよく聞かれるが、まったく読んでいませんと、正直に答える。

まったくというのは正確ではないが、まだ読んでない本がたくさんある。それが何より嬉しい。

僕にとって、本棚とは読み終えた本を保管しておくものではなく、まだ読んでない本を、その本を読みたいと思ったときの記憶と一緒に並べておくものだ。この本を読みたいと思ったその瞬間こそ、この世でいちばん愉しいときではないだろうか。それをなるべく引き延ばし、いつでもそこに読みたいが並んでいるのが本棚で、その愉しさは、読まない限りどこまでも終わらない。永遠につづいてゆく。なんと素晴らしい本棚。

ある日の本棚、森の奥の本棚からはじまって、失われた本棚、はじまりの本棚まで、タイトルは三十五ある。

大部分は私が知らない本ばかりだが、いくつか読んだり読みたい本も出てくる。

吉田篤弘の本棚というタイトルでは吉田さんの著作が並んでいる。二十ばかりあるが、既読はまだ二、三冊なんだ。まあ図書館になければ読めないのだが。あるだけはみな読んでみようかな

兄の本棚・弟の本棚というタイトルでは、母校の先輩坪内さんの本とか、姉的な小川洋子さん、妹的な三浦しをんさん、しをんさんのお父さんの浦島太郎の文学史も並んでいる。
あるいは装丁を担当した本が並ぶ本棚とか、興味津々なところもあるが、全体的には知らない本が多く、まともに読むのが面倒に思えてきた。まあこれで読んだことにするか。