全五編の短編集。単行本の表紙絵には、猫とオウムとオバケ?とトカゲ?と広口瓶が描かれていて、童話っぽいイメージを感じていたが

今三編読んだところだが、そんなもんじゃないな。しかし、正直よくわからない感じ。いったい何が言いたいんだ、て叫びたくなる

最初の「風を放つ」は、書き出しに印刷会社で深夜バイトしていた主人公の大学生と、高尾さんという先輩社員の話かと思っていたら、高尾さんの同居女性からいきなり電話があり、以後しつこいほどかかってきて困惑した結果、彼がしたことは?という奇妙な話。その女性が風のような悪霊が入った瓶を持っていて、開けたら彼女のいう通り人を襲ってくれるという。開けたこともないのになぜわかるのかな

二つ目の「迷走のオルネラ」は最初嫌な話だと思った。主人公の母親が妻子持ちのDV男に殺される。そこまではよくある話だが、後半では懲役20年で出所した男を自宅の地下室に捕まえ、洗脳して、DV男を殺す戦士にしたてあげるという。

ここまで読んで、恒川さんは私には合わないかな、と思い始めた。なんか違うような

三作目の「夜行の冬」になって、やっと私が好きな恒川ワールドかなと思う。

幼い頃、冬の深夜外を歩く一団の気配を感じたことがある。祖母は夜行様だという。成人して両親を亡くして独り暮らしになったころ、深夜に外から鈴の鳴るような音と雪道を踏む音を聞く。近づいた物音を覗こうとしたが何も見えず、好奇心から夜道に出てあとをつける。そして出会った女性。真っ赤なコートに赤い帽子、骸骨のようにやせて、手には山伏のような錫杖が。彼女の後ろには暗い影がいくつかついている。気がつくと一緒に歩いていた。どれだけ歩いても誰にも行き会わない。なにか別の次元を歩いているような。

やがて明かりのついた家に上がり込み食事をとる。あんこう鍋。狸の店でむじな亭。ちゃんと金をとるが悪くない味だった。同行者に話を聞くが、要領が得ない。無口のガイドについて歩くだけ。朝になると次の町につき、元の町だが境遇が変わっている。パラレルワールド。歩いているとき脱落すると闇にたたずむ得体の知れないものに取り込まれて消えてしまう。助けようとしない方がいいと忠告される。冬の間だけの夜行。そんなことが繰り返されていく。不気味なような、運命のような諦感を感じる夜行

残り二編は明日の夜にしてもう寝よう。外から何か聞こえてくるかな?