期待していた割りにはあまりよかったとも言えないかな

著者が住む沖縄を舞台にした怪談短編集とサブタイトルにあるが、怪談と呼ぶほどでもない。民話風というか不思議潭とでもいう短編が七編

最初のヨマブリと胡弓による弥勒節は少し引かれた。魔法の胡弓の音には悪霊を吸い込む力がある。偶然会った老女から胡弓を受け継ぎ、数奇な運命を過ごす男の話

二つ目の森に住む妖怪クームンもいかにもそれらしくて興味深かった

三つ目の無人島に住む蛇のような怪物ニョロ。

四つ目は南米から来た沖縄系三世の娘に売春させる親戚の老婆。怪物なのかえげつない人間なのか、よくわからなかった

五番目は幻灯電車。昭和初期に那覇港から首里まで走る路面電車がお化け電車になることがあった。でもそれより娘を郭に売ろうとした父親を母親が殺すという悲惨な話で、嫌な話だった

六番目はミルク祭りでの奇妙な出会い。ミルクは弥勒菩薩がなまったもの。少年が出会ったおばさんの奇妙な予告。それが巡りめくって、立場が逆転する。奇妙な話

最後がタイトル作で、三度転生したフーイーと名乗る神のような存在。最初は異国の娘として島に現れ、島になれた頃に、動物に変身できて、村人を助けたため神に祭り上げられる。やがて人並みに恋をして結婚し、子供もできたのに、変身力をなくし、蛇に噛まれて死ぬ

二度目に現れたフーイーは別の少女に憑依していて、変身力はなく、異常者の男に恋人と共に殺される

三度目のフーイーは思慮深い少女に憑依するが、最初と二番目の家族の子孫にしか正体を打ち明けず、二番目を殺した魔物のような男が憑依した少年を島から追い出す

沖縄言葉やそれらしい風土、習慣がたんたんと書かれていて、怖さや不気味さはあまり感じないが奇妙な味の話だった。強いてあげれば気に入りは最初と最後かな


次は原田さんの小説を二つ読もうと思う。『まぐだら屋のマリア』と『でーれーガール』。そのあとにまた恒川さんの短編集『金色の獣、彼方に向かう』を読もうかと思っているのだが。どうかな?