予想通り、味わい深いいい作品だった

六編の短編集。私が気に入ったのは、二番目の「妖精生物」以外、どれもよかったが、特にタイトル作の「花まんま」は思わず涙がこぼれそうになった

小学五年生の俊樹には二年生の妹フミ子がいる。彼女が生まれたとき、父親がバンザイと叫ぶほど喜んだ。兄としてちゃんと面倒見るように頼まれた。その後父は事故死。四歳の時風邪で熱を出した妹が変わった。おとなしく可愛いのが、わがままになった。といって駄々をこねるのではなく、周囲に関係なく、したいことをする。保育園から抜け出して、気に入った公園で遊んでいた。だから遊びにいかずに兄がそばにいてやらないと。付近の草や花で弁当をつくって中学生の兄に食べさせるままごとさせられたり。

小学校に上がった頃、妹が漢字の読み方を聞いてくる。彦根。琵琶湖のそばの町だと教える

その後、妹はとんでもない話をする。二十歳くらいで殺された女性の生まれ変わりだと。彦根の自宅には両親、兄、姉がいて、デパートガールでエレベーターにいるときに変質者に刺されて亡くなったと。

一度彦根につれていってほしいと言い出す。亡き父のためにもそんな話は信じないものの、その家族には会わないと約束して出かける。

骸骨のように痩せた老人を見かけ、父だと妹がいう。立ち話していた人に聞くと、娘が亡くなったときに昼食中で、それが申し訳ないと、以降飲み物以外とらないのだと。

会うなという兄に妹は代わりにある物を届けてほしいという。届けにいくと、父親ばかりでなく兄も姉もいて、うさんげに俊彦を見る。が父親が持っていったものを見ると、弁当箱の中に草や花で絵がかかれていて、亡き娘のものだとわかる

逃げるように立ち去り、駅に向かうと、三人が待ち構えている。俊彦は思わず叫んでしまう。これは僕の大事な妹。亡き父が誕生を喜び、母と二人暮らしてきた妹だと。だから指一本触らせないと。父親は嗚咽する。

兄は辛いものだなと、彦根の兄は俊彦にいう。しっかりかわいがってやれと。

亡き娘の年齢を過ぎると、妹は妹の人生を歩み、結婚する。だから兄の役目は相手の男に任せよう


兄の妹に対する思い、亡き娘の生まれ変わりが目の前に現れた父親の気持ちを思ったら、泣きそうになった