読みやすくて、一気に読めた。あれこれ考えさせられつつ、楽しめた

誠治はフリーターで土木作業の深夜バイトで今は続いている。大学出て就職できたのに、あっさりとやめてしまい、以後就職もできず、いくつかのバイト仕事も長続きしない

そこそこの会社で経理をしてる父と母との三人暮らし。姉が嫁いでいる。

そんな一家に降りかかった災難は母親の鬱病。しかもパニック障害や強迫観念もあり、気がついた姉が医者に連れていってわかった

会社が買い上げた今の自宅は家賃が格段に安い。まわりの建て売りでローンに苦しむ近所たちからはやっかみ半分と父親の酒癖から、村八分状態になり、飼い猫が傷つけられたり、陰口を聞かれたりして、母親は長年苦しんでいた。それに気づいていたのは嫁いだ姉だけだった

自分の楽しみにしか目が届かない父親と、自分の思いだけで、会社や世間を恨んでいた誠治。無理解で独りよがりな男たちのために母親は一人悩み苦しんでいた。そのために病になった

誠治は心を入れ換えて金になる深夜のバイトに励み、昼間は母親の様子を見ることにした

長いことバイトして弱音もはかず、信頼できると言うことから、バイト先の社長から正社員での雇用をほのめかされる。新たにした就活により、採用を認められた会社との二者に迷い、父親にも相談して、バイト先に決める。

今は同族会社の下請け子会社だが、いずれは独立して大きくしようとしている社長とともに、誠治は慣れない仕事に励み、それなりの進歩をして、新たな採用を担当するまでになる

誠治が見込んで採用した二人の新人も、思った以上に働き、仕事も増えていく

母親も落ち着いてきたし、父親に得意分野の経理の勉強をみてもらうことで、会話もなかった家族に笑い声もできてくる。

職場に捨てられていて生き残った猫を連れ帰り、昼間一人でいるためにぶり返し気味の母に世話をさせたことが、セラピーになり、母親も元気になる

一年がたち、バイト時代からも含めて貯金が二百万円。嫁いだ姉が母のためならと預けた百万円。二つの通帳を父に見せて、母のためにはなにより環境を変えるための引っ越しが必要だと言う。今は母のことにも理解を示す父親が仕事のつてで郊外に手頃な家を買い、家族は引っ越す

全額ではないが、フリーターだった誠治がそのいくぶんかを負担したのは確かだろう

就職以降の誠治が少しかっこよすぎな気もしたが、いい話だった