残り四編のうち、半分でも読めたらと読み始めたが、一気に読めてしまった

どれも女性が主人公の話だな。

「寄り道」はアラフォーの二人の女性が夏に東北に旅して出会った若い女性の話。白神山地観光のマイクロバスで一緒になった若い女性。はじめは無愛想で、黒いが派手な服装でツァーには不向きで、今時の若い娘かと思っていたのに、たぶん母親と言う言葉で変わったのだろう。彼女に貸した扇子が母親の形見だと聞いて、素直になって事情を話してくれた。母を置いてモデルになるために上京したものの、目的も果たせず、数年帰郷していなかったら、母が急死。葬儀のために帰ってきたが、白神山地のガイドしてた母が送ってくれていた白神山地が見たくて、葬儀の前に寄り道して、ツァーに参加したと言う。バスの運転手が母の死を知らせてくれた母の同僚で、他の客を置いて時間の迫った葬儀に行ってくれることになる

「斉唱」でも母子家庭の娘が中心。思春期になり、普段まともに話もしない中2の娘が、学校が提案する体験学習につれて行ってほしいと言う。行く先は佐渡がいいと。佐渡でトキの世話をしてる家族に出会い、娘の心の扉が開く

「長良川」では鵜飼と花火見学に訪れた母と娘、そしてその婚約者。母は半年前に主人を亡くしている。昔見合い結婚した無口の主人は、新婚旅行先に長良川を選んだ。大学で河川の研究をしていて、全国の河川を調査していた主人は、長良川が落ち着けて好きだったと。抗がん剤による治療中の一年前にも夫婦でここに訪れていた。娘も相手できたし、夫婦水入らずでこの付近で余生を暮らそうかと話していた。娘たちと鵜飼を楽しみながらも亡き夫との思い出に耽る母を描いている

最後の「沈下橋」は高知の四万十川が舞台。地元食材の食堂で働く還暦前の多恵。客の携帯で人気歌手由愛の大麻で指名手配中を知る。その直後彼女から連絡が。仕事のあとに会うことにする。昔多恵は由愛の父親と再婚したことがあり、数年母親として暮らした。やがて父親が不倫したのをきっかけに離婚して、由愛ても疎遠だった。歌がうまかった由愛の方から離婚して自由になればいいと言ってくれた。餞別に歌を歌ってくれた。二人は無人駅で落ち合い、四万十川付近の民宿に宿をとる。四万十川には増水すると見えなくなる欄干のない沈下橋がたくさんある。賢い橋だと多恵はいう。自分で身を隠して嵐が過ぎるのを待っているかのよう。蛍を見に夜外に出た二人はそんな橋を渡ってみる