著者の少年時代を描いた話。宮城県登米町。
最初の章は、再会。卒業を待たずに転校した私が、32年ぶりに訪れた小学校。今は文化財に指定されて、町の教育資料館となった校舎は昔のまま

校庭で待ち合わせたのは当時の同級生三人。親友が二人、稔と巌夫と、片想いの相手、友子。昔は太っちょで、とろくて泣き虫だった巌夫。土建屋の父をもち、お坊っちゃんだったのに。現れたのは浅黒く日に焼けた筋肉質の中年男性。今は社長。
稔は都合で来れないと友子は言う。当時はかわいくて頭もよく学級長だったが、今は太ったおばさんになってるが、あっけらかんとした口調と優しげな笑顔は昔のまま
私は売れない作家だと知られている
私が転校する前に、四人で埋めたタイムカプセルを掘り出すために集まった。

そのあとの八つの章で、私ら三人の男児の冒険や遊びが回想されて語られる

座敷童子、河童、天狗、鬼、狐、雪女、山姥、そして神隠しという言葉が入ったタイトルの章が目次に並ぶ

最後は発掘。タイムカプセルは掘り出され、さて開けようとすると、開けるなら四人そろってがいいと巌夫が。稔は来れないが待っているはずだと。今は友子は稔の妻だと聞かされ、変わらない校舎についで二度目の驚きを感じる。二人の子もいて、友子はこの小学校の教師だとか。
実は本当は三年前にカプセルを開けるはずだったが、私が忘れていた上に、音信不通だった。それで稔は私を探して、三年待ってから四人で開けようとした。友子が私の本を見つけ、やっと連絡がとれたのだと。友子と巌夫に連れていかれた先は病院。三か月前に稔はくも膜下出血で倒れ、植物状態。回復の可能性はあるから、稔の前でカプセルを開けたいのだと。最初の約束通り、三年前だったら四人で開けられたのにと、私は後悔する。

私は思い出す。稔が大事にしていたナイフをくれたこと、それをカプセルに納めたことを。そのナイフで稔の自由を奪っている束縛を断ち切って、奇跡を起こせるのではないか。忘れていた思い出があふれだしてくる


小学生の頃の思い出があるのはうらやましい。一緒に遊んだ仲間がいたのはうらやましい。変わらない校舎があるなんて驚きだな。私の頃の木造校舎はなくなり、今は鉄筋コンクリになり、位置も変わってしまった。当時から残っているのは校庭の銀杏の樹くらいか