『琥珀の眼の兎』

イギリス人の陶芸家が日本に長く住んでいた大伯父の死後、そのコレクションだった根付を遺贈される

それを機に、それら日本生まれの根付けがどのようにして、ここにあるのかの探求を始める

彼の一族はもとはロシアの西の辺境に住んでいたユダヤ人だった。19世紀中頃に小麦販売を足掛かりにして富を築き、やがて金融界に足を伸ばし、大富豪となる。

息子をパリに派遣し、銀行業をし、豪華な館も作る。その三男坊が根付けを最初に購入した。明治維新後の混乱に乗じて買い集めた日本の伝統的な美術工芸品がパリに持ち込まれ、日本のものを専門に扱う店もできた。三男のシャルルは、その店で一括で2百あまりの根付けを手に入れた。シャルルは三男の気楽さから商売もしないのに金持ちと言うことで、美術品の収集の他に、芸術家のパトロンのようなこともしていた。ルノワールやプルーストの時代。

そんな時代のシャルルを描いている部分を読んでいたのだが、なんか根付けの話があまり出てこず、つまらなく思えてきた。

結局、ユダヤ財閥の一族を描くのが目的なのかもしれない

シャルルの祖父が端緒なんだが、その長男がパリに、次男がウィーンに居を定めて、この二つの都市で繁栄した一族らしい。

根付けはその後、ウィーンの一族の手に渡り、ナチスに追われるようにして、一族が没落していくのかな。著者が遺贈を受けた大伯父は、このウィーンの一族の末裔らしい。

巻頭に家系図があるが見てみると、パリにいた一族は20世紀はじめに絶えている
ウィーンの一族は、メキシコ、東京、ニューヨークでなくなっている。さらにウィーンやオランダに住む子孫や著者のようにイギリスに住むものもいる

ある一族の興亡というだけなら、正直私にはあまり面白くない。日本生まれの根付けがどう見られ、どう感じられていったのか、なんとか最後まで目を通したいと思うのだが、どうなるかな?