よかった。ほんわかした気持ちよさ。悪人が出てこない。そんな世界。読み終えてから気がついた。小路さんの作品だった。東京バンドワゴンと同じ世界の人間なんだ

キシャツーとは汽車通学の略。北海道では遅くまで汽車が活躍してたから、電車まで汽車と呼ばれるのだとか

北海道の田舎の町、海岸沿いに走る電車で高校にかよう。一時間に一本、一両だけの電車。都会人には考えられないかもしれないが私にはわかる。郊外の職場近くを走る電車がたぶん同じ。一両だけ、単線を走る。時刻表は見たことないから違うかもしれないが

その電車通学する高校生六人と東京から来た高校生が主人公の夏休みの話

目次を見ると主要人物の名前が章のタイトルになっている。各自の視点から話が進む

はるか、このみ、あゆみは二年生でテニス部。夏休み練習に通うためにキシャツー。そして生徒会長のヨッシーははるかの幼馴染み。ヨッシーの親友でいつも一緒のリョッチー。二人とも東京の大学に進学予定で、夏期講習と図書館通いのキシャツー。最後にヨッシーのクラブ仲間で同じクラリネットを吹く紗絵さんは美人のお嬢様。
カメラ好きのあゆみが二日前から途中の海岸の砂浜に赤いテントがあるのに気づく

ヨッシーも紗絵も気づいていた。それで確かめようと言うことになる。町で見かけた見知らぬ男のあとを追いかけ、話をするきっかけができる。

両親が再婚同士で共に連れ子がいて姉弟になったが、姉の実の母親が亡くなり、父親がさらに再婚したために、家を出ていった姉。その姉がこの町にいると聞いたので、夏休みだし、テント生活しながら探しているという、光太郎。姉には迷惑かもしれないから、密かに探すつもりだと

話を聞いたはるかやヨッシーたちが協力することになるが、直後、紗絵がなじみの花屋で見かけたことがあるという

光太郎に確かめさせると、間違いなく姉だった。あっけなく姉弟の対面となり、仲間で祝い合う。最後には仲間の両親も交えて、砂浜で大宴会となり、一夏のおもいでに

それで結局何を描いた話だったのかな。キシャツー仲間に光太郎が加わって友達の輪が広がった、それだけ。進路に迷っていたキシャツー仲間たちに、ひとつの示唆を与えたのかな。最後は光太郎が札幌での姉の結婚式に出たあと、キシャツーの町に来ただけで、他の連中の消息には触れていない。みな各自の道を進んでいるが、いつか故郷に戻って再会したいものだというだけ