これはよかったな。予想外によかった。はでではないが、じんわり心に響くような

大学生のゆきなは郊外の家に独り暮らし。両親は海外旅行とか。そんなある日、二年前にいなくなった兄が突然現れる

地味で引っ込み思案のゆきなとは反対に、誰とも仲良くなれて、女にはもてるし、一方部屋には本が溢れるほどの読書家。しかも料理を作るのも得意で、ゆきなにおいしい料理を作ってくれる。

最近ゆきなはその兄の蔵書を借りて読んでいる。九つの短編からなる作品なんだが、各篇でゆきなは近代文学の名作を読んでいる。泉鏡花、太宰治、田山花袋、永井荷風、内田百けん、井伏鱒二、樋口一葉、サリンジャー。その話の内容がなんかゆきなの話と絡んでるような気もする

ゆきなにはやがて香月君という彼氏ができ、兄にも紹介するのに、ささいなことで、会わなくなってしまう

兄は実は二年前に死んでいて、ゆきなの前にいるのは幽霊だという。姿も見えるし、他人と話もでき、料理もできる幽霊とは驚きだ。かわいい妹のことが心配で、幽霊となって現れたらしい

生真面目で融通の聞かない妹が、自分なしでもちゃんと生きていけるようにしたいと思っているのだろう。ささいなことで会わなくなった香月君とゆきなを最後に結び直して、消えていく


なんか不思議な感じもする話だが、読んでいて違和感がない。いい話だなと思う