やはりいいな、三田さんの作品は。これまた六編の短編集

最初の「ファインプレー」。ソープで働いていた女の子が、長唄三味線で賞をとるまでになる最初の話は、いまいちな気もしたが

二編目の「黄金街」。書店でカリスマ店員として評判になるにつれ、同僚から浮いてしまい、新宿の小路の小さな酒場のママさんになって出会った老ギター弾きの話はなかなかよかった

三編目の「パタパタ小父さん」。男性歌謡歌手の衣装を作っていた洋服屋の話

四編目は「しあわせの鐘」。のど自慢で合否の鐘をならす男の話

五編目の「通夜噺」。名人と言われた落語家にただ一人運よく弟子入りできたものの、鳴かず飛ばずの男が、師匠の通夜で演じた唯一の噺のおかげで、同席していた葬儀屋さんに後に誘われて、通夜で演ずる落語家として大成する話

最後は「青い花」。年老いた売れっ子の作詞家が、かつて作詞してデビューさせようとした新人歌手の歌。妻の死とかさなったため、新人に駄目を押したため、ヒットもせず終わった。すでに廃盤になってるその曲が、東北の被災地で評判になっている。新人歌手のふるさと。彼女がまた歌っているのでは。だったらもう一度レコード化させたいと。しかし、彼女も病におかされていて、歌手として歌うことはできない。被災地を回って歌うだけ。死に行く妻の思いをこめて作った歌を、同じ境涯の彼女が思いをこめて歌っている

泣けるような話もあり、やはりいいな