全六編の短編集。昼前に二編を。今残りの四編を読み終えた

私の好みから言えば、五編目のがいいなと思う。男だからか、気持ちがわかるというところもあるし、羨ましい気持ちもある。

通販情報紙に載った商品が過大広告だとクレームがつく。出版社の健一と玩具会社の身代わりの若い社員石津の二人が車で宇都宮まで行き、謝罪することになる。健一が運転を始めると、石津はさかんに友達と携帯で連絡を取り合う

はじめは苦々しく聞いていた健一も事情がわかると、一緒に一喜一憂するまでに

石津は高校時代野球部で、卒業したら十年後に九人でまた会って野球をしようと約束する。その連絡をしていたのだった。十年もたてば仕事や生活も様々で、それでも無理して来ようとするものもいれば、今の状態が惨めで出るのを渋るものもいる。でも無理に頼んで試合してもらう相手もいるし、メンバー九人がそろわないと試合にならない

健一も実はかつて甲子園経験者で、メンバーが足らなければ、代理で出ようかとまで言い出す

年の離れた若い石津にはじめは遠慮気味だったのに、彼のクレーマーへの見事な対応を見て、見直すことになる

仕事、クレーム処理、仲間、スポーツといった男同士の連帯を感じて、なんかいいなと


三編目の社会人大学生の話は初耳で、興味深かった。夜間高校というのは聞いたことはあるし、社会人になってからの大学生も知っていたが、社会人のいわば夜間大学は初耳だった。仕事しながらも大学で学ぶなんて大変だろうな。

主人公がただ勉強もしないで単位取得のためにレポの代筆を頼んでいるわけではないとわかり、少し驚いた。なんかそんなのあるの、と。最後に出てくる金次郎のストラップもおもしろく、なかなかよかった

目当ての四編目は少し暗い話で、あまり楽しめなかったが、仏像の修理の話や仏像が別の仏像に作り替える話も興味深かった。あと後味が悪い結末でないのもよかったな。仏師に挫折して修復師を目指したものの、結局逃げ出した主人公が、今は家庭をもち、娘の結婚式に出るために、思いでの工房に立ち寄った

書名にもなってる最後の話は、いちばん縁遠い話で、感動は薄いかな。難民救済の仕事は大変だろうし、ご苦労様と言いたいが、住む世界が違うという思いがまず出てくる。


総じて確かになかなかいい本だったが、わたし的には絶賛とまでは言えないが

たぶんこの作家ははじめてだと思うが、また読みたいものがあれば読んでみたい