これまたいいな。安心して読めて、心を暖かくしてくれる
業務用食材卸の会社に勤めて十年の稔。喜怒哀楽に乏しく覇気がないため、国立大学卒なのにぱっとしない社員だった
女性では一人だけの営業で、独断専行気味ながら一目おかれていた坂岡が寿退社することになった。30代後半で、相手は取引先の男で50歳。女性の地位は低く、いくら頑張っても先が見えるから、仕事を続けないと、最後の方で言っていた。すっぱりやめて、後任の成果によって、自分の力量を会社に認めさせるのだと。
その担当地域の渋谷を稔が引き継ぐことになり、引き継ぎのために渋谷一帯を坂岡と稔の二人で歩き回る。
実は稔は小学校まで渋谷に住んでいた。祖父が始めた個人営業のパン屋。職人だった婿入りした父親は祖父の死とともに店を閉め、土地を売り払い、実家に戻って、菓子メーカーに就職した。
その頃にも地元を離れるものが多くいて、学校の生徒数が減少していた。今は周辺の学校と統合されて、稔の母校は廃校になっていたとあとでわかる。
地元に残って頑張ってるものへの引け目から、小学生だった稔も罪悪感を持ち、ずっと渋谷を鬼門扱いで訪れていなかった。
中学高校を田舎ですごし、大学は都内、そのまま就職したものの、渋谷を歩くことはなかった。
そんな稔が心ならずも渋谷担当として、里帰りしたわけだ。かつての同級生と会ったり、昔を偲ぶ町や変わり果てた町並みを歩きながら、そのうち仕事意欲も出てきて、恋人候補もあらわれたりして、坂岡さんの送別会を幹事として取り行う
長年がんばって、客とのコミュニケーションがしっかりできていた坂岡さんに比べたら、まだまだ失敗も多いし、客である飲食店の異動もあり、大変な仕事だが、稔の口癖は、負けるものか。負けるものか
業務用食材卸の会社に勤めて十年の稔。喜怒哀楽に乏しく覇気がないため、国立大学卒なのにぱっとしない社員だった
女性では一人だけの営業で、独断専行気味ながら一目おかれていた坂岡が寿退社することになった。30代後半で、相手は取引先の男で50歳。女性の地位は低く、いくら頑張っても先が見えるから、仕事を続けないと、最後の方で言っていた。すっぱりやめて、後任の成果によって、自分の力量を会社に認めさせるのだと。
その担当地域の渋谷を稔が引き継ぐことになり、引き継ぎのために渋谷一帯を坂岡と稔の二人で歩き回る。
実は稔は小学校まで渋谷に住んでいた。祖父が始めた個人営業のパン屋。職人だった婿入りした父親は祖父の死とともに店を閉め、土地を売り払い、実家に戻って、菓子メーカーに就職した。
その頃にも地元を離れるものが多くいて、学校の生徒数が減少していた。今は周辺の学校と統合されて、稔の母校は廃校になっていたとあとでわかる。
地元に残って頑張ってるものへの引け目から、小学生だった稔も罪悪感を持ち、ずっと渋谷を鬼門扱いで訪れていなかった。
中学高校を田舎ですごし、大学は都内、そのまま就職したものの、渋谷を歩くことはなかった。
そんな稔が心ならずも渋谷担当として、里帰りしたわけだ。かつての同級生と会ったり、昔を偲ぶ町や変わり果てた町並みを歩きながら、そのうち仕事意欲も出てきて、恋人候補もあらわれたりして、坂岡さんの送別会を幹事として取り行う
長年がんばって、客とのコミュニケーションがしっかりできていた坂岡さんに比べたら、まだまだ失敗も多いし、客である飲食店の異動もあり、大変な仕事だが、稔の口癖は、負けるものか。負けるものか