好人物ばかりで、なんかちゃちな感じもするが、それでも結構楽しめた

湘南の海を見下ろす鎌倉山。そこに上る坂道の途中にある、古びた屋敷。段々畑のような広い庭や竹林がある。持ち主の殿様、倉持はかつては株成金でこの屋敷を手に入れたものの、バブル崩壊で自己破産し屋敷も手放したが、あいにくと売れ残ってる。そこへ大阪で知り合った山岡夫妻とともに帰り、無断で住んでいる。電線から電気を引き込み線で盗み、井戸の水を汲み上げて生活に支障はない。山岡はもと電気工事屋で、そうした工事になれている。こちらも商売が駄目になり、借金がかさみ、取り立てに追われている。大阪のビリケンさんの前で知り合った、半分ボケた倉持が、昔屋敷の庭に大事なものを埋めたという言葉につられて、宝探しの穴ほりに来た。

45歳でリストラされ、再就職もままならず、自暴自棄になり家出をした佐伯が偶然この屋敷に来たときには、他にサーファーくずれの遠野、彼の恋人でプロカメラマンの夏生、いじめに遇い、リストカットを繰り返してきた女子高生真世、自称覗き屋の管がこの屋敷に出入りしてる

屋敷の屋上には、立派な望遠鏡があり、佐伯は黙って出てきた家のこと、妻と小学生の息子が気になり、望遠鏡で家を見ている

さらには山岡の取り立て屋の黒岩まで来る

遠野はかつてアメリカの大会で日本人初の優勝を勝ち取ったが、一発屋で、故郷の湘南に帰ったものの、鳴かず飛ばず、忘れられた男。高さ20メートルの大波を再び乗り越えて、復活を期している。しかし、そんな波があるわけもなく、台風の直撃を待ち望んでいる。
ラストにまさにねらった台風が訪れた時に、各自の将来が変わる。そんな話だったが、まともに仕事してないものの溜まり場、それもあってか悪人ではないが、なんか現実味を感じない人物たち

気楽に読めて、そこそこ面白かったが、なんか薄っぺらな感じが抜けない

池永さんの本は図書館にもかなり並んでいて、前から興味を持っていたんだが、どうかな。あと一冊借りてるから、それを読んでからさらに読むかどうか決めようか。最初に目についたのは文庫で買った『コンビニ・ララバイ』だが、確かまだ読んでない。時代小説も書いていて、それも気にはなってるのだが。なぜか手に取って眺めるまでで、ちゃんと読んだことがない