奇妙な、というよりは不気味な話なのに、引き込まれて一気に読んでしまった。病を吸い取り、体内にためたり、他のものに移す能力を持つ女性と、彼女を助け、未来を見られる男性。蜜姫と黒王。もともとは平家の落武者の姫と従者かと思える。越後の山奥に逃れ、近くの村にその能力を使うことと引き換えに、山奥に住むことを許され、やがては一種神のような存在になっている。

そこに紛れ込んで来たのが昆虫学者。蜜姫の力で偶然できた異形の蟻を見つけ、新種かと思い、探索する。

それによって蜜姫の秘密が知らされることを恐れ、学者はとらわれ、のちに病を移される壺として抹殺される。同行した新妻と腹の中の娘の行く末は?といった話だった。