朝食はバイキングスタイルだった。
私はこんな時、洋食でまとめるが、舞花はどうなのだろうか。
舞花の好みとかけ離れてしまえば、母親が訝しがるだろう。
しかし、並べられたメニューを見て、舞花の体が反応してくれた。
例えば味噌汁を見ても、飲みたいという気分にはならず、スクランブルエッグを見ると口の中に軽く唾液がたまるといった具合にだ。
オレンジジュースにクロワッサン、スクランブルエッグ、ソーセージ、ヨーグルト。
席に着いてみれば母親はパンとコーヒーとサラダを盛り付けていたので、舞花の家は洋食派なのだろう。
私は朝から乳製品を摂るとお腹が痛くなるたちなのだが、舞花に関してはそんなことはなかった。
健康的な体で送る高校生活。
体が弱く休みがちだった自身の高校生活を思うと羨ましい気がすると同時に、本来それを送るはずだった舞花のことを思うと胸が痛んだ。
しかし、先ほどの母親の口ぶりからすると、舞花にとっては望ましい進学だったとは思えない。
そうだとすれば、そこから逃げ出せて清々しているかもしれなかった。